32話 戦場
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ユウナが心配気に見守る中、キマリはビランと対峙した。
エンケも、キマリと戦おうとするが、ビランはそれを止めた。
「ビラン大兄」
「手を出すな。キマリとは、俺、独りで戦う」
エンケが二人から離れると、キマリは後ろを一瞥した。
「ティーダ」
白い息を吐きならティーダが近寄ると、キマリは槍を手渡す。
ティーダが、大丈夫かと眼で訴えると、それに答えるようにキマリは大きく頷いた。
十年前に、ツノを折られた屈辱は、
鮮明に脳裏に焼き付いている
キマリがビランを振り返ると、いきなり拳が飛んで来た。
キマリは横に吹っ飛ぶ。
倒れたキマリが起き上がろうとすると、今度はキックが襲って来る。
肩の辺りに飛んで来た弾丸のような脚を、かろうじて腕で止めた。
「おまえの力は、そんなものか」
防御一方のキマリを、ビランは見下ろした。
ビランの脚を振り払うと、その勢いで横へ飛び、回転して立ち上がった。
そのまま、雪に覆われた大地を蹴って、ビランに突進する。
「はああああっっ!!」
緩く弧を描き、右の拳がビランの頬に当たる。
すぐさま、ビランの拳がキマリに放たれる。
暫くの間、鈍い音をたて拳の応酬が繰り返されていたが、痺れを切らしたビランが、キマリの顔面に勢い良く肩をぶつけた。
それがカウンターになり、キマリは大きく後ろにはじき飛ばされる。
「キマリ!」
思わずユウナが叫び、ティーダは息を呑んだ。
後ろに滑りながら、キマリは上体を屈めて何とか踏ん張る。
片手を地面について、バランスを保った。
そのまま地面を蹴って、ビランに突進する。
低い姿勢であっという間に間合いを詰め、体を捻って回転させる。
回し蹴りでビランのバランスを崩し、その勢いで、すかさず鳩尾を蹴った。
吹っ飛んだビランは、転がって雪にまみれる。
仰向けで止まると、うめき声を上げて動かなくなった。
「よくもビラン大兄を!」
エンケは叫び、キマリに殴りかかろうとした。
「よせ!」
ビランの制止に、エンケは動きを止めた。
「俺のーー負けだ」
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