32話 戦場
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「しかしよ、ビランと・・エンケだっけ?しつこくキマリに付きまとっていた割には、あっさり引き下がったな」
ワッカは、盛大に白い息を吐き出した。寒さのせいで、語尾が震える。
「そうね、どうしてかしら」
ルールーも、この寒さに防寒着を着ていた。
二人と初対面のリュックは、ほっぺたを真っ赤にして訊ねる。
「アイツら、そんなに陰険なの?」
「ビランとキマリの因縁は、十年前に始まった。
ロンゾの若衆は、仲間同士で戦い、互いの力を比べる。
キマリは、ビランに敗れても、負けを認めなかった。
腹を立てたビランに、キマリはツノをへし折られた。
キマリは恥に耐えられず、御山を捨てて出て行った。
無口になったのは、ツノを折られた時からだ」
キマリが、自分の過去を語るなど初めてのことだった。
いつも何も喋らないと言われているせいか、多弁なキマリに、ルールーとワッカは顔を見合わせる。
「今日は・・よく喋るわね」
「そだな」
「待て!」
前方から降って来た声に、皆は立ち止まった。
辺りを見渡す一行の前に、ビランとエンケが姿を現す。
「まだ、邪魔するってのかよ!」
「召喚士は通す。ガードも通す。キマリは通さない!
キマリはロンゾの面汚し。ロンゾの使命を棄てた者」
「一族を棄て、御山も棄てた!小さいロンゾ!弱いロンゾ!」
「御山は、弱く小さい者を嫌う。登りたければーー」
「力を示せばいいのだな」
ビランの挑発に、一歩も引かない覚悟を示す。
「勝てると思うか!?誰がキマリのツノを折ったか忘れてはいまい」
「キマリは、一度もビラン大兄に勝てなかった」
天に向かって長く伸びたツノを誇示し、エンケも、キマリを嘲笑う。
「このーー!!」
ビランとエンケの態度に腹を立てたティーダは、二人に挑み掛かろうとした。
だが、キマリはそれを制した。
「ロンゾの問題だってのかよ!」
じれったそうに言うティーダに、キマリはひとこと言い返した。
「キマリの、問題だ」
二人の前に立つと、キマリは毅然と
「今度は勝つ。勝つと決めた。ユウナを護る 誇りに掛けて!」
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