32話 戦場
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ケルクは踵を返すと、一族に向かい命を下す。
「者どもーー道を開けい!」
驚きを隠せないビランとエンケを余所に、ユウナに向かって、静かに語りかける。
「召喚士ユウナよ。汝の想いは、鋼より硬い。
ロンゾの強者が束になろうと、汝の意志は曲がらぬであろう。
真、見事な覚悟である。
声も体も小さくとも、その志しは、ガガゼトの頂まで届くであろう」
ケルクは、ガガゼトの頂上を指差す。
「行くがよい。霊峰ガガゼトは、汝らを受け入れようぞ」
「ありがとうございます」
ケルクも認めたユウナの覚悟。
入山を許された喜びの中、ルールーは、眩しそうにユウナを見つめた。
山門をくぐり抜け、聖なる山、ガガゼトに足を踏み入れた。
リンが用立てた防寒着に顔をうずめながら、アーロンが呟いた。
「決定的だな」
「何がさ」
ティーダは、鼻の頭を赤くしながら振り返る。
「エボンは、揺れている。まだ、マイカが抑えているだろうが、遠からず崩壊が始まるだろう」
ティーダは前を向くと、足元に視線を落とした。
雪を踏みしめる音だけが、規則的に聞こえる。
「そういうの、俺、どうでもいいな」
ポツリと言ったティーダに
「お前は、スピラの者ではないからな。
純粋に教えを信じている者にとっては、苦しい時代が始まるかもしれん」
アヤが、以前言っていた。
「スピラは、道を外れ過ぎたーー」
何を根拠にそう言ったかは、定かではないが
この事を、暗示していたのだろうか。寺院に依存し、思考を停止したエボンの人たち。
それが自然の成り行きだったのか
それとも 巧妙に仕組まれたものなのか
どちらでもいい
いまはーーユウナのことしか、考えられない
その後、黙々と登っていると、ルールーが隣りに来た。
遅れがちになるのは、登山には不向きな服だから、仕方がない。
「ユウナ、強くなったわね」
「強いの・・かな」
遣りきれないように、胸の内を吐露する。
「凄く必死になってる。そんな気がしないか」
「だから強いのよ、あの子は。ちゃんと前に進んでる。
弱い人が必死になっても、自分を追い詰めて壊すだけ。
ちゃんと前に進めるのは、強いからよ。
ユウナは強くなった。私は・・泣き言を言わずにいるのが精一杯」
何とかするって言って置きながら、その実、何も思いついていなかった。
だからかな、アーロンやルールーに、あんな態度を取ったのは
俺ーーガキだ
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