32話 戦場
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ティーダは、一番前を歩いているキマリと肩を並べる。
隣りを歩くティーダに、一瞥もくれることなく、キマリは前方のガガゼト山を見据えていた。
「ガガゼトは、ロンゾの地。キマリの故郷だ」
いきなり話し出したキマリに、ティーダは、少し驚いた顔で見上げる。
「そっか。家族に会えるかもな」
「キマリに、家族はない」
「あ・・悪い」
「でも、独りではない」
キマリは立ち止まる。
ティーダは、ひとり故郷を離れても、臆する事無く、誇り高く生きているロンゾの男を見上げた。
オヤジや、アーロンとは違うーー大きな背中
ビサイドで、キマリに試された事を思い出した。
あれから、キマリの中で、俺の評価はどうなっているんだろう。
キマリにも、男として認められたい
ふと、そんな思いがよぎる。
ティーダの思いを余所に、キマリは故郷のガガゼトに想いを馳せる。
「霊峰ガガゼト。十年、千年、変わらない」
ちらほらと小雪が落ち始めた中、雪と氷に閉ざされた、ガガゼト山の山門にたどり着いた。
「十年前も、ここでガガゼトを見上げたものだ」
アーロンの呟きに、シンになったジェクトの姿が脳裏に浮かぶ。
「オヤジ・・どうしてた?」
「ーー覚えていない。どうやって、ブラスカを死なせないようにするかーー俺は、そればかり考えていた」
ここを見上げた時は、もう、覚悟してたんだよな
きっとーー
十年振りの故郷に、感慨に浸る間もなく、山肌からビランがキマリに躍り掛かる。
それをなんなく交わすと、キマリはビランを睨み付けた。
立ち上がったビランの後ろから、ケルク・ロンゾが尊厳を醸し出し、悠然と歩いて来る。
ケルクの圧倒的な存在感に、一気に緊張が走る。
アーロンだけは、動じていなかったが。
ケルクはユウナを見据え、厳かだが、威圧的な声で告げる。
「召喚士ユウナとガード衆よ。早々に去れ。
ロンゾが守護するガガゼトは、エボンの聖なる山。
教えに背いた反逆者には、御山の土は踏ませない」
いつの間に現れたのか、山門の周囲にはロンゾ族が集まり、敵意に満ちた視線をユウナたちに向けている。
「エボンの敵は、ロンゾの敵。帰れ、反逆者!」
ビランが、憎々し気に罵声を放つ。
ユウナは、ケルクに毅然と言い放った。
「私は、寺院を捨てました。もう、寺院の命令には従いません!」
「その言葉、取り返しがつかんぞ」
「構いません」
ケルクの最後通告とも取れる言葉も、ユウナは即座に否定した。
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