31話 ナギ平原の夜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
結局、ナギ平原の旅行公司に、5日間滞在した。
その間に、オーナーのリンがやって来た。
「皆さん、ご活躍だったみたいですね」
リンの挨拶に、ティーダたちは苦笑した。
「ベベルの様子は、わからないか?」
「申し訳ありません。ベベルには、出入りしていないので」
「そうかーー」
アーロンは、あっさり引き下がった。
念の為、寺院の動向を把握しておきたかったのだろうが、こればかりはリンにはわからなかった。
「リン、色々揃えてくれて有難う」
「いえいえ。お客様の要望に応えるのが、私の務め。お役に立てて、光栄です」
そう言いながらも、アヤに自然な笑みを見せる。
「今日は、これを持って来ました。お役立て下さい」
そう言い残して、リンは帰って行った。
箱を開けて見ると、人数分の防寒着が入っていた。
特訓の成果は、これから先の道のりで発揮するとして。
明日の朝、出立することになった。
冷えた外の空気の中で、アーロンは静かにナギ平原の夜を過ごしていた。
「アーロンーー」
「なんだ」
後ろに立っているティーダに、振り返ることなく、返事をする。
「あの、さ・・」
そこまで言って、ティーダは気まずい顔で頭に手をやった。
ティーダの気持ちを察したアーロンは、ゆっくり振り向いた。
「ティーダーー今は、まだ言えん。だが、いずれ話す」
「うん」
ティーダは頷くと、旅行公司に向かって歩き出した。
「おい」
「なんすか?」
立ち止まったティーダが振り向くと、アーロンの大きな背中が目に入る。
「ユウナとは、上手くいったのか?」
ティーダは、みるみる顔を赤くする。
「なっ!? ア、ア、アーロンにはカンケーないだろ!じゃあな!おやすみ!」
慌てて走って行く、ティーダの金の髪をちらりと見て、アーロンは笑った。
旅行公司を出て来たアヤは、前から真っ赤になって走って来るティーダと、ぶつかりそうになる。
「何?」
慌ててよければ、ティーダはたたらを踏んで、転びそうになる。
「な、何でもないッス!おやすみ、アヤ!」
倒れ込むように扉の中へ消えるティーダを、アヤは呆気にとられて見送った。
「アーロンーー何をからかっていたの?」
岩の上に腰を下ろしているアーロンの首に、後ろから腕を絡める。
「ふ・・」
アーロンは笑ってはぐらかすと、アヤの手を握る。
「ガガゼト山を越えれば、ザナルカンドだ。覚悟はーーいいな」
「はい」
アーロンのゴツゴツした指を、強く握り返す。
立ち上がったアーロンは、アヤを抱き寄せた。
黒いサングラスの奥に、決意に満ちた琥珀の瞳。
その頭上には、金色(こんじき)に煌めく月があった。
近づいてくる傷痕に、アヤは紫水晶の瞳を閉じた。
.
