31話 ナギ平原の夜
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布団に入ったものの、アヤは、なかなか眠れなかった。
ここは、アーロンが私を傷つけて
私がアーロンを傷つけたーー場所だから。
十年前の旅が、走馬灯のように浮かんでは消えていったが、何時しか眠りについた。
「いまは、何を恐れている?」
アーロンは、キマリに視線を戻す。
「ーー何を?」
「アヤが、真実を知った時か?」
「!!」
「アヤが望むものは、アーロンにしか叶えられない。この十年、アヤを見ていて思った。
それでも、アヤが離れると疑うのか?」
「キマリ、俺はーー」
いずれは、離れる時が訪れる。
そうしなければ、ならない。
それが、この世の理ーーなのだから
キマリは、アーロンに背を向け言った。
「アヤが、これから生きていく上で、この旅は支えにならないだろうか」
アーロンは、黙って目を伏せる。
キマリは踵を返すと、旅行公司へ向かって歩き出した。
「そろそろ戻ろう。夜は、まだ明けない」
キマリが扉に手を掛けようとすると、勢いよく開いた。
「アーロン!」
二人は、飛び出して来たアヤに驚いた。
「どうした、アヤ」
「あ・・なん、でもないのーーごめんなさい・・キマリ・・」
キマリは大丈夫だと頷き、二人を残してさっさと中へ入ってしまう。
「あーー」
慌てて声を掛けたが、アヤは、アーロンと外へ取り残された。
「・・どうした?アヤ」
飛び出して来たアヤに、躊躇いがちに声を掛ける。
「アーロンが・・」
呟くたびに、肩が震えた。
後ろ髪から覗く首筋が、白く艶めき、誘うように色香が漂う。
その首筋を、アーロンはじっと見つめた。
振り返ったアヤは、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
「アーロンがまたーーいなくなっちゃうかと思っ・・て」
堪え切れずに溢れ出した涙が、アヤの頬を濡らす。
「アヤーー」
「アーロン・・あなたは、十年前の事で自分を責めているんでしょう。私は・・アーロンには、ブラスカが一番大事な人だけど、私には、あなたが一番大事な人だった。
だから・・ここを最後に、アーロンと逢えなくなってしまったことが、一番・・辛かった」
「アヤーーすまない」
泣きながら自分を見上げるアヤを、アーロンは抱きしめた。
アヤはその胸に顔をうずめながら、懇願する。
「アーロン、もう謝らないで。お願い。謝られる度に、辛いの・・」
自分の弱さが、アヤを苦しめていた。
アーロンは、きつく、アヤを抱きしめた。
部屋を出入りする気配に、目を覚ました。
あぁ、キマリか・・
そう思い、また瞼を閉じようとした。
その時、微かに聞こえたアヤの声。
ティーダは思わず、耳を澄ました。
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