31話 ナギ平原の夜
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「いやあああああっ!!!!不潔~~~!!!!」
アヤが悲鳴を上げると同時に、アーロンが叫ぶ。
「逃げろ!!」
アーロンの剣幕に、一斉に走り出した。
自らはユウナの手を引っ張り、アヤから距離を取る。
「いやああ~っ!!モルボル嫌いっ~!!」
「モルボル?」
ティーダが、魔物の姿を確認しようと、振り返った。
その目に映った魔物はーーー
「なんだよ!!この口の化け物はっっ!!!!!」
緑色の体に巨大な口。
その口の中に、無数に生えた細い牙。
口しかない丸い頭から出ている触手が、畝畝と蠢いている。
何よりも、その魔物が放つ異臭。
その臭いだけで、戦闘不能になりそうだ。
ティーダの至近距離に、いきなりアルテマが堕ちた。
「うわあぁぁ~!!!!」
あまりの威力に、アヤを残し、一目散に逃げ出した。
魔法が届かない距離まで逃げて振り返ると。
アヤがまだ、何か喚きながらアルテマを堕とし捲っている。
モルボルは、とうに幻光虫になったらしく、影も形もなかった。
少し離れた場所に立っているアーロンが、盛大なため息をついた。
「全く・・」
「なあ、アーロン。十年前も、ああだったのか?」
「あぁ、モルボルを見た瞬間、あの有り様だ。その時は、サンダガだったがーー
ブラスカは暢気に笑っていたが、俺とジェクトは、生きた心地がしなかった。
何しろ、いつアイツが現れるか、わからんかったからな」
「はははは・・・」
こればかりは、オヤジの気持ちがよくわかる。
ティーダは乾いた笑い声を上げた。
ルールーとリュックはワッカを盾に、アヤを眺めている。
動じてないのは、キマリだけだ。
「ユウナ、アヤの魔法を封じてくれ。ナギ平原にいる間だけだ」
「はい」
これを見せられては、ユウナも従わざる得ない。
ユウナがアヤを沈黙させると、平原に静けさが戻った。
アーロンが安堵の息を吐く。
正気を取り戻したアヤが、バツが悪そうにこちらを向いた。
アヤの暴走が収まり、またナギ平原を歩き出した。
歩きながら、アヤがユウナに話し掛ける。
「ユウナ、要望があるんだけど」
「何ですか?アヤさん」
「ナギ平原の旅行公司に、何日か滞在して欲しいの」
「えっ!?」
アヤの言葉に、ユウナだけでなく、全員が振り返った。
「どうしてですか?アヤさん」
ワッカは、ユウナを引き留めたいのかと、アヤを見る。
その思いを感じ取ったのか、アヤは微かに笑う。
「急ぐ旅なのは、わかってる。でもね、ここから先はーー魔物が今までとは、比べものにならない程の強さなの。
ルールー、ワッカ。ナギ平原から先へはーー」
二人は黙って首を振った。
「夕べ、アーロンとも相談したんだけど。みんなに、力をつける為の特訓をして欲しいの」
「「特訓!?」」
アヤは頷いた。
「僅かな時間だが、お前たちを鍛える」
キマリが、アーロンの言葉に頷く。
「キマリも賛成だ。ガガゼト山の魔物は、強い」
「うん、わかった」
ティーダたちは頷いたが、リュックは黙ったままだった。
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