31話 ナギ平原の夜
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【片側からの想い】
岩肌に挟まれた道を抜けると、青い空が広がる。
その高い空に目を細めながら、アヤが言った。
「ここが、ナギ平原よ」
反逆者の汚名を着せられ、ベベルを逃げ出し、この広大などこまでも何もない平原に足を踏み入れた。
初めて見る平原を、リュックは言葉もなく見渡す。
「ここは、歴代の召喚士たちが『シン』と戦った土地。そしてーー道が終わるところ」
アヤの説明を、アーロンは感慨深く聞いていた。
懐かしさと後悔が、頭をよぎる。
此処で終わり 此処から始まったーー物語ーー
「この先は、街も、村もない。道なき荒野が続く」
「だからこそ、道を見失ってーー迷う。召喚士も、ガ-ドも・・な」
「ガ-ドも?」
「・・・」
ティーダが鸚鵡返しに聞いたが、アーロンはそれには答えなかった。
ユウナは、ブラスカがシンと戦い命を落としたこの土地を、黙って見つめていた。
視線を空へ移し、ゆっくりと地面に仰向けに倒れ込む。
そのまま一面に茂っている草の匂いを、思いっきり吸い込んだ。
「私はーー迷わないよ」
そう言って、微かに笑うユウナに、ティーダは手を差し出す。
「俺、死なせない。絶対なんとかする」
ユウナは、身体を起こすとその手を握り、沈痛な面持ちのティーダを見つめた。
「・・うん」
手を借りて立ち上がると、彼にしか聞こえない、小さな声で返事をした。
皆は黙り込んで、平原を見つめている。
十年前と同じように。
リュックは、遠くを見ていた視線を足元に戻し、何やらじっと考え込んでいる。
「行こう」
ユウナは皆を振り返り、明るく言うと歩き出した。
絶対ーーなんとかする。
言葉にすれば、本当になる。
そう・・信じたかったんだ。
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