30話 聖なる泉
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「半年前、ジスカル老師の訃報を聞いた時、すぐにシーモアを疑った。
彼が、ジスカルを憎んでいたのは、口にしなくても、よくわかっていたから」
アーロンは、ザナルカンド遺跡で見た思念を、思い返す。
確かに、『母さま』と呼んでいた。
シーモアにとって、強い絆で結ばれた、究極召喚獣。
「アニマの祈り子は、やはりーー」
「う・・ん」
アヤの返事に、アーロンは目を閉じて、何事か考えを巡らせていた。
やがて目を開けると、逡巡しながら口を開いた。
「最早、奴は自分の歪んだ希望に取り憑かれて、この世に留まっているに過ぎん」
アーロンは、アヤの髪に唇を寄せる。
「・うん」
頷きながら、微かに震える腕の中の温もりを、アーロンは更に抱きしめた。
「夜が明ければ、また旅がはじまる。ここから先は、今までよりも険しい道のりだ。
俺が見張る。このまま少しでもいい。眠れ・・」
「・・はい」
アヤは、アーロンの胸にもたれて、目を閉じる。
隠していたシーモアとの関係も全て打ち明け、心が、少しだけ軽くなった気がした。
アーロンが、『自分のこと』を隠し通すのならーー
このまま、気づかない振りをした方がいいのだろうか。
そんな考えが、沈んでいく意識の内に宿った。
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