30話 聖なる泉
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泉の淵に腰を下ろしたユウナは、凜とした声で告げる。
「旅ーー続けるよ」
「うんーー」
ティーダは、ユウナの横顔をチラリと見て、小さく頷いた。
「やめちゃったらね、どこで何をしていても・・きっと」
ユウナは俯く。
「キミと一緒にいてもーー私、きっと笑えない」
「うんーー俺も、行くから」
顔を上げると、ティーダの決意に満ちた顔が映る。
「ガードだからな」
何も言わずに自分を見つめるユウナに、ティーダは不安になる。
「もしかして、クビ?」
少しおどけて、左手で自分の首を斬る真似をする。
その仕草に、ユウナは笑った。
そして、慌てて否定すると、改まった顔で頭を下げる。
「最後まで、お願いーーします」
「最後じゃなくてーーずっと」
自分と同じ、迷いのない瞳。
「ーーありがと」
二人の様子を見ていたキマリは、ユウナを護る役目を譲る時が近いことを、悟る。
満足気に目を細めると、踵を返し皆の元へ戻って行った。
泉を後にして、野営地に戻る途中。
ほんのわずかな道のり。
ユウナとティーダは、手を繋いで歩く、恋人同士だった。
野営地に戻って来ると、すぐに皆がユウナの回りに集まった。
「えっと。アーロンさん、アヤさん。ワッカさん、ルールー。キマリ、リュック。夜が明けたら、出発します」
ワッカが、小さくため息をついた。
俯くリュックの肩を、ティーダは慰めるように叩いた。
「それからーー色々、心配かけてごめんなさい。あの・・」
「もういい。ゆっくり、休んでおけ」
労りに満ちたアーロンの声が、ユウナの謝罪を遮った。
「はい」
「みんなも休んでくれ。俺とアヤで、見張りをする」
そう言うと、アーロンとアヤは入り口の方へ歩いて行く。
「アヤさん、大丈夫かなーー」
ユウナが心配そうに見送ると、皆もそれにつられた。
「二人のコトは、二人で解決するしかない。大丈夫だ、ユウナ。アーロンを信じろ」
キマリの言葉に、みんなは、銘々の場所に腰を降ろした。
リュックは、ルールーが止めるのも聞かずに、木によじ登る。
キマリは、ユウナのそばで木にもたれ、腕を組んだ。
皆が目を閉じ、眠る努力をしている間、キマリは入り口付近に見えるふたつの影を見つめていた。
やがて、ユウナの寝息が聞こえはじめた頃。
ふたつの影が、ひとつに重なった。
それを見届けると、キマリはゆっくり眼を閉じた。
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