30話 聖なる泉
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【泉の誓い】
ベベルの街を脱出して、俺たちはマカラーニヤの森の、旅人が野営に使う場所に逃げ込んだ。
そこは、木の根が複雑に入り組み、巧みに奥へ続く道を隠していた。
この森には、こういった場所が数多くあるらしい。
なんとか、無事に逃げ切れたけど
ユウナは相当参っていた。
仕方ないよな。
ずっと信じてきたエボンに、裏切られたんだし。
辺りの様子を探りに行っていたアーロンが戻り、ワッカは立ち上がった。
「どうでした?」
「追ってはない。だが、今後、ベベルに近づくべきではないな」
全員を見渡し、ユウナとキマリの姿がないことに気づく。
「ユウナは?」
アーロンの問いに、ティーダはため息混じりに答える。
「ひとりになりたいってさ」
「だろうなーー」
そう呟くと、アヤの傍へ行った。
皆、それぞれの場所で、沈黙する。
教えに裏切られた自分の傷を癒やし、ユウナの気持ちと、これからの事を思って。
その沈黙を、リュックが破った。
「ユウナん・・どうするんだろ。旅、やめちゃうのかな」
誰ともなしに言った言葉に、ティーダが答える。
「そっちの方が、いいだろ?」
そうすれば、自ら命を落とす事はない。
たとえ、シンは倒せなくても。
「う・・ん。ユウナんがホントに旅を続けたかったらーー
邪魔しちゃいけないのかなーーとか、そんな風にも思っちゃうんだ」
リュックは地面に腰を下ろし、膝を抱えた。
立ち尽くすティーダに、ルールーが声を掛ける。
「ティーダーーユウナは森の奥よ。キマリがついて行ったけどーーあんたも行ってみたら?
あんたにしか出来ない事、あると思うわ」
「でもーー」
ティーダが躊躇っていると、後ろから声がした。
「おまえの出番ーーではないのか?」
振り返ると、アーロンがこっちを見ていた。
「アヤのことは、心配するな」
シーモアと戦った時は気丈に振る舞っていたが、やはり堪えたのだろう。
木の根に腰を下ろしたまま、俯いている。
こっちは、アーロンの出番っスね
「うん。アヤのことは、アーロンに任せるっス」
ティーダは笑うと、森の奥へ走って行った。
「朝になったら、出発だな。どこに向かうかは、ユウナ次第だけどよ」
ティーダの姿が見えなくなると、ワッカは口を開いた。
「ユウナに全部決めさせるなんて、無責任ーーだよな」
そう言って、大きなため息をつく。
そんなワッカを、ルールーは労りの眼差しで見る。
「何も考えずに戦って、ただ前に進めたらーー楽なのにね」
月明かりに、ルールーの白い肌が艶めいていた。
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