29話 対峙
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シーモアの独演は、更に熱を帯びる。
「権力でアヤを
焦っていたのでしょう。
アヤの愛情は手に入らず、信頼の置ける腹心もおらず、彼自身なんの知力もない。
なにせ、人を陥れて、此処まで伸し上がって来た男ですからね。これは失礼」
言い終わらぬ内に、喉の奥で クッと音を立てて笑う。
「もう、アヤからお聞き及びでしたね。
別に、彼の蠢動を気にしていた訳ではありません。
でも、彼はひと時の安らぎも知らず、追い詰められていたはず。
だがーーもはや思い悩む事もない。
彼は永遠の安息を、手に入れたのだ。私が与えた死は、甘き眠り。
ありとあらゆる苦しみを、優しく拭い去り 癒やす。
ならば、全ての命が滅びれば、全ての苦痛も、必ずや癒える。そう、思うでしょう?」
シーモアは、ユウナに手を差し延べる。
「さあユウナ殿。共にザナルカンドへ。最果ての死者の都へ。死を持って、スピラを救おう。
その為に、貴女の力と命を借りて、私は新たな『シン』となりーースピラを滅ぼしーーそして救う」
全ての民に救いの手を差し伸べて、貴女は私と
予想していたとはいえ、シーモアの口から吐き出される言葉に、アヤは愕然とした。
シーモアが永い時をかけたどり着いた場所で、彼の心はねじ曲がり、人としての想いも無くしてしまった。
シーモアの母親が、彼の為に命を投げ出したから?
ジスカルやグアドへの憎しみが、彼の心に暗黒の闇を産みつけてしまったから?
それともーー私が殺したから?
「そうだ。おまえが殺したからだ」
息絶えた筈のキノックがーー言った。
「おまえを助ける為に戦った男を」
キノックの瞳が開いた。
「おまえは殺したのだ」
「ひっ!!」
アヤは短い悲鳴を上げた。
「おまえなど、アーロンに捨てられてーー当然だ」
キノックは、ムックリと顔を上げる。
「アーロンが、おまえのような女をーー愛している筈がない」
その言葉に、アヤは震えた。
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