29話 対峙
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【闇の中の導】
夕闇に紛れ、街の中をひた走る。
ベベルと街の外を繋ぐ、唯一の路 『グレートブリッジ』 まで、あとひと息の距離まで迫った。
「もう少しよ。みんな、がんばって」
アヤは、自身も息を切らせながら励ました。
だが、休んだとは言え戦闘と逃走を繰り返している皆は、早くも疲労の色を浮かベていた。
そこへ、煌々と照らされた、グレートブリッジが見えて来た。
自然と上がるスピードに、無事にたどり着けると誰もが思った。
その時、前方に待ち構えている人物に気づき、アーロンは走ることを止める。
「やはり、脱出しましたね」
微笑みを浮かべ、彼は悠然と、漆黒の闇を纏って歩いて来た。
僧兵とグアド族の側近を引き連れ、隣りにはキノックの姿もあった。
「シーモアーー」
アヤの呟きに、ティーダは先頭に立ち、シーモアを睨みつけた。
彼の眼差しなど歯牙にもかけず、シーモアは一行を見渡し、満足気に笑みを深くする。
「お待ちしておりました」
シーモアが立ち止まると、後ろに居る僧兵が、アヤに向かってキノックを突き飛ばした。
「!!」
力なく倒れ込んでくるキノックの身体を、アヤは抱き留めた。
「キノック!」
名を呼ぶアヤに、シーモアは蔑みの視線を向ける。
「おや、お嫌いではなかったのですか?言い寄られて、迷惑していたのでしょう?」
キノックの体重を支えきれず、アヤは床に膝をついた。
「アーロン」
既に、息絶えている彼の身体を抱きしめ、アヤはアーロンを見上げた。
「キノックーー」
アーロンは、物言わぬ彼を見つめる。
「てめぇーー!」
簡単に命を奪うシーモアに、ティーダは憎悪を募らせる。
「感謝して欲しいですね。アーロン殿」
自分に向けられた言葉に、アーロンは目を見開いた。
「何?」
「私は、彼を救ったのだ。この男は、権力の亡者だった」
「大きな権力を得たばかりに、それを失うことを恐れ見えない敵に怯え、つまらぬ謀略を巡らす日々。
そう、彼は十年もの間、行方知れずだったアーロン殿。貴方に怯えていたのです」
「なんーーだ、と?」
思いがけないシーモアの告発に、アーロンは驚きの声を上げた。
「そうだろう?アヤ」
確信に満ちたシーモアの態度に、アヤは俯く。
アーロンは、アヤとキノックを見比べた。
『キノックが、あんな風になったきっかけは・・』
アヤの言葉が甦る。
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