28話 懐かしの場所
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ハッとして、目を開ける。
自分を見下ろすアヤと、視線がぶつかる。
「アヤーーいま、なんと」
アヤは黙って、サングラスをアーロンの顔に掛けた。
「おい、押すなよ」
「だって見えないんだよ」
「ワッカ、もっとかがめよ」
ドアの向こうから聞こえて来た声に、アーロンは体を起こす。
「ねえ、やっぱりやめようよ~。よくないよ〜」
「何言ってんの、ユウナん。こんなチャンス、滅多にないよ」
「そうそう。これをネタに、一生アーロンを強請るっス」
「伝説のガードのラブシーンかぁ。アーロンさん、濃厚そうだよなぁ」
「何が濃厚なの?」
下から見上げるリュックに、答えをいい澱んだ。
「ワッカ、俺もイマイチわかんないっス」
背中にのしかかっているティーダが言うと
「おまえには、後でゆっくり説明してやる」
「あ~、ずるーーいっっっ!!!」
ドアが開いて、三人は居間へ雪崩込んだ。
「おっも~い!」
「わりぃ」
「なんだよ、急に」
「何をしているんだ?貴様等」
頭の上から降って来た野太い声に、三人は恐る恐る顔を上げる。
そこには、鬼の形相で仁王立ちしているアーロンが。
「「「ごめんなさ~い!!」」」
三人は、慌てて部屋へ戻った。
ひとり残ったユウナは、引きつった笑いを浮かべる。
「あ、あははは」
「ユウナ・・久し振りに説教だな」
呆れながらも、どこか楽し気な顔だった。
十年振りに、この家のテーブルの向こうにあるアヤの笑顔とアーロンの仏頂顔に、ユウナは含羞んだ。
「ユウナーー十年前の旅で、ブラスカが言っていたことを伝えるわね」
「父さんの?」
アヤは頷いた。
「ユウナには、好きなひとと結婚して、子どもを産んでーー家族に囲まれて、生きて欲しい。そう言ってた」
「父さんが、そんなことをーー」
「旅の邪魔をするつもりはないの。ただ、聞いて置いて欲しかったの」
アーロンは黙っていた。
ユウナは少しの間俯いていたが、顔を上げると二人を見て微笑んだ。
「ありがとう、アヤさん。伝えてくれて」
例えどんなことを言われても、ユウナの覚悟は変わらないのだと
今更ながら、アーロンは思った。
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