27話 メビウスの輪
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薄暗い通路を探るように進んでいると、僅かな灯りの中に白い影が浮かんだ。
「アヤさん!」
ユウナは駆け寄ると、アヤの体を抱き起こした。
傷だらけの体に、回復魔法の『ケアル』をかける。
「う、んーー」
うっすらと目を開けたアヤに、ユウナは安堵の息を吐いた。
「アヤさん、大丈夫ですか?」
「ユウ、ナ?」
アヤは、壁にもたれかかって座り、ユウナを見る。
「みんなは?」
黙って首を振るユウナに、アヤは予想していたのか、さして驚いた様子も見せなかった。
「みんなは、きっと大丈夫よ、ユウナ。こんなところでやられる程ヤワじゃない」
その言葉に、ユウナは頷いた。
「アヤさん、いつからここに・・」
アヤは伏し目がちに、髪を掻き上げる。
「裁判が、始まる前よ」
安心させるように、ユウナの顔を見て笑う。
「魔物自体は大した事ないんだけど・・数が多くて」
最後には苦笑いになったアヤに、ユウナも笑った。
「裁判、どうだったの?」
アヤの問いに、ユウナは全てを話した。
「アヤさんはーー知ってたんですね」
「うんーー旅から戻って、聞かされた。
でも、誰にも言えなかった。言えば、最後の希望が無くなる。
自分の手でそれをするのが、恐かった」
ユウナはアヤの隣に座り、肩を寄せた。
「私ーーずっと、アヤさんに訊きたかった事が・・」
緊張を滲ませて、ユウナは言った。
「ーー何?」
「どうして、ビサイドにーー来てくれなかったのーーかなって。ベベルの方が、楽しいから?」
「それはーー」
いい澱んだアヤに、ユウナは慌てて口を開く。
「言いたくないなら、別にーー」
ユウナは、服をギュッと握り締めた。
「でもお父さんが、言ってたの」
「ブラスカが?」
「私のお母さんがアルベド族だから、それでアヤさんが寺院で辛い思いをしているって。
お父さんは、お母さんが大好きだから、そんなの平気だけど、アヤさんには可哀想な事をしたって」
こらえ切れなくなったユウナの瞳から、大粒の涙が溢れる。
「だから、私のこともーー嫌いになったと思って・・」
「ユウナ違う!!」
アヤは、ユウナをキツく抱きしめた。
「違う!そうじゃない!そうじゃないのーー」
「アヤさんーー?」
訝しげに聞き返されると、アヤはユウナから離れた。
「私が、ビサイドに行かなかったのはーー」
俯くアヤを、ユウナは見つめる。
「怖かったのーーユウナに責められるのが。ユウナに嫌われるのが、恐かったのよーー」
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