27話 メビウスの輪
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浄罪の路と水路に罪人を放り込んだ後、裁きの間にキノックは移動した。
既に、マイカとシーモアが居り、何事かを話し合っていた。
キノックが入っていくと、マイカが怪訝な顔で訊ねた。
「ロンゾの老師はどうした」
キノックに代わり、シーモアが答える。
「私の父殺しが、お気に召さないようで」
シーモアの説明に、マイカは嘲りの笑みを浮かべる。
「所詮はロンゾよ。頭が固いばかりで、役に立たん」
同盟を結び、形式上対等な立場だが、マイカをはじめシーモア、キノックは共に彼を一段下に見ていた。
「それに比べて召喚士ユウナは、大召喚士ブラスカの娘。生かしておけば、利用価値はあります」
「あの娘は、エボンの秩序を乱す。生かしては置けぬ」
マイカはシーモアの意見を、即座に否定した。
シーモアは、マイカの意に、従順に頭を下げる。
「ーー畏まりました」
「諦めろ、シーモア。あの浄罪の路に放り込まれて、生きて出た者はおらん」
キノックの自信に満ちた物言いに、シーモアは僅かな嫌悪を示す。
「なれど、万一突破せぬとも限らぬ。ベベルの出口に兵どもを配し、あやつらが現れたら始末せい」
「その任、私にお任せを」
シーモアが頭を下げると、マイカは楽しげに目を細める。
「ほう、花嫁を手に掛けると申すか」
頭を上げると、恍惚とした表情でシーモアは続けた。
「花嫁だからこそ、せめて私の手で」
「待て、俺も行く」
「私を信用出来ぬと?」
キノックの申し出に、今度は露骨に嫌悪を示した。
「父殺しの男を信用出来るか」
「ーー結構、ご勝手に」
裁きの間を出ると、徐にシーモアは訊ねた。
「キノック老師、アヤをどうしたのです?」
裁判にアヤの姿がなかったことを、シーモアは不信に思っていた。
「なんだ?昔の女が気になるのか?」
卑しく一瞥をくれるキノックを、シーモアは冷ややかに見た。
「俺のモノになれば、助けてやろうと思ったがーーフン!浄罪の路に、放り込んでやった」
勝ち誇ったように笑う彼を、シーモアの目が冷酷に捉える。
「ーーそう、ですか」
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