27話 メビウスの輪
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裁判が終わった後、ユウナやティーダたちは、散り散りに牢屋に入れられた。
アーロンと共に放り込まれた牢で、ティーダは喚き続けている。
「出せ!出せってんだ、コラあ!聞いてんのかあ!」
「無駄だ」
出入り口に向かって叫んでいるティーダに、アーロンは冷たく言い放った。
ティーダは喚き疲れたのか、床に座り込む。
「ユウナーーどうしてっかな」
「さあな。だが、立ち直るさ。強い娘だ」
アーロンも心配なのか、いつもより声が低い。
ティーダはユウナの決意の強さを思い、アーロンに当たる。
「立ち直ったって!旅続けたら、死んじゃうんだろ!」
ため息をつくと、深くうなだれる。
しばらく沈黙が続いた。
牢屋の柱にもたれたまま、身動きひとつしないアーロンを盗み見みて、ティーダは皮肉を口にする。
「アヤの事、心配じゃないのかよ」
そのままの姿勢で、アーロンは呟く。
「キノックは、手荒な真似はしないと言った」
「信じてんのかよ」
言葉に怒りが滲んでいた。
答えない彼に、ティーダは呟く。
「スピラってさ、誰かが死ぬとか殺されるとか、そんなんばっかだな」
シンに、ここ、スピラに運ばれてから感じていた本音をぶち捲けた。
「あぁーー死の、螺旋だ」
「螺旋?」
「死を撒き散らすシンに挑んで、召喚士たちは死んでいく。
召喚士を守るために、ガードは命を投げ出し死ぬ。
祈り子の正体は、死せる魂。エボンの老師は死人。
スピラには、死が満ちている。
シンだけが復活を繰り返し、死を積み重ねて往く。
永遠に巡り続ける、死の螺旋」
アーロンの言葉に、ティーダはため息をより深くした。
「何の為に生きてんだよーー」
まんじりともしないで、夜が明けた。
牢の中で押し黙る二人の耳に、足音が聞こえて来る。
そちらに目をやれば、薄笑いを浮かべたキノックが立っていた。
「出ろ。お前らの処分が決定した」
「処分?処刑の間違いではないのか?」
「何を言う。親友を処刑する筈がなかろう」
わざとらしい笑みで、親友と言う言葉を口にするキノックに、アーロンは皮肉を返した。
「よく言う」
牢を出ると、僧兵に囲まれる。
「キノックーーアヤはどうした」
「その内に、会えるさ」
もう会うことも無いであろう親友の顔を、キノックは見ようとしなかった。
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