27話 メビウスの輪
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「これより、エボン最高法廷を開廷する。エボンの名のもと、厳正なる審理を行う聖なる法廷である。
裁かれる者よ。エボンを信じ、真実を述べよ」
9年前、ロンゾ族の長でありながら四老師に選ばれた、ケルク・ロンゾの開廷宣言により、裁判は始まった。
自らの長であるケルクの姿を、キマリは複雑な想いで見上げた。
「召喚士ユウナ。汝は、エボンの民を守る使命を帯びた身であろう」
「はい」
ユウナはひとり、裁かれる罪人が立つ席にいた。ティーダやアーロンたちは近づく事が出来ずに、傍聴していた。
「ならば問う。汝は、シーモア・グアド老師に危害を加え、アルベド族と手を組み、騒乱を起こした。
これはエボンの秩序を乱す、許し難い反逆行為である」
ケルクの後ろにはマイカが立ち、ユウナを挟むように、シーモアとキノックが左右に立っていた。
断罪する権力者に囲まれ、ユウナは自身を弁護する者を、傍に置く事さえ許されなかった。
「それはーー真の反逆者は、シーモア老師です。老師は、父君ジスカル様をその手で!」
ユウナの告発に、ケルクは驚愕した。
「何ですと!」
そのケルクを嘲笑うように、シーモアは事も無げに言う。
「おや、初耳でしたか」
「そればかりか、シーモア老師は既に亡くなっています!マイカ総老師、どうかシーモア老師を異界へ!」
マイカはユウナを見下ろし、先程の告発など歯牙にも掛けずにユウナに訊ねた。
「死人は異界へーーそう申すか?」
「はい!」
即答するユウナを見、マイカは笑い出す。
「ふっふっふーー」
マイカの笑いに、ケルクやキノック、シーモアまでが、含み笑いを浮かべる。
ユウナは、マイカやケルクの反応に、怪訝な顔をする。
「老師?」
笑いが納まると、マイカの身体から幻光虫が漂い出る。
それに気づき、ユウナをはじめ、皆は顔をこわばらせた。
「左様、儂も死人よ」
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