27話 メビウスの輪
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「キノック~!おはよ~!」
ベベル寺院の中を、欠伸をしながら歩いているキノックの後ろから、元気な声が聞こえた。
振り向くと、走って来るアヤの姿を見つけ、笑みを漏らし立ち止まる。
アヤは息をきらして、キノックに走り寄った。
「おはよう。どうしたんだい?そんなに慌てて」
肩で息をしながら、アヤはキノックの顔を見た。
「だって、今日から遠征でしょ?
だから、どうしても会いたかったの」
アヤの言葉に、キノックは波顔した。
「そいつは嬉しいね。でも、何でだい?」
「これ、渡したくてーーお誕生日おめでとう」
オレンジ色のリボンがついた袋を、キノックに差し出す。
「俺にかい?」
頷くアヤに、キノックは嬉しそうに受け取った。
「昨日、作ったの。お口に合うといいんだけど」
自信なさげに言うアヤに、キノックは早速、リボンをほどく。
「おっ、焼き菓子か!」
「1ヶ月も前から、作っていたんだ」
後ろから声がした。
「アーロン!」
「ホントかい?アーロン」
アーロンはゆっくり二人に近づくと、アヤの隣に立ち、頷いた。
「あぁ。失敗作は全部、俺が食べた」
「もう!アーロン!」
言わなくてもいいのに、とアヤは真っ赤になって、アーロンを叩いた。
「あっはっはっは!じゃあこれは、晴れて成功した菓子なんだね!ありがたく頂くよ」
キノックが礼を言うと、アヤは恥ずかしがりながらも、微笑んだ。
「キノック、そろそろ時間だ」
「もうか?じゃあ行くとするか。
アヤちゃん、有難う」
「うん!二人とも気をつけて」
「行ってくる」
アヤが手を振ると、キノックは大きく振り返し、アーロンは片手を上げた。
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