26話 コンチネンタル・サーカス
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通路の先には、螺旋階段が階下へ続いていた。
中の様子に、ルール-は眉を寄せる。
「静かすぎるわねーー罠?」
沈黙する寺院に、不安を感じた。
「罠でも関係ない。ユウナが待ってんだ!」
アヤが無言で、階段の横にあるコントロールパネルを操作する。
操作が終わると、螺旋階段が下に向かって動き出す。
「なんで寺院に機械があるんだよ?」
嫌悪を表すワッカに、リュックは事も無げに言う。
「だって、便利だし」
「そういう問題じゃねえ!教えはどうなってんだ。教えは!」
未だに教えにこだわるワッカに、アヤは苛立っった。
「まだそんなことを言ってるの?さっき、ライフルを突きつけられたのを忘れたの?!」
「アヤ、さんーー」
アヤの剣幕に、ワッカはたじろぐ。
「ここには武器庫だって、射撃訓練所だってあるわ!でなきゃ、銃なんか撃てないわよ!!」
「止さないか!!今はそんなことを言っている場合ではない!!」
アーロンが声を荒げると、アヤは口を噤み俯いた。
「いくぞ」
アーロンは、アヤを促した。
螺旋階段を下りながら、ワッカはアーロンに訊いた。
「アーロンさんはーー知ってたんですか?」
十年前、ブラスカのガードになるまで、アーロンはここ、ベベル寺院の僧兵だった。
優秀な僧兵だったと、遠くビサイドまで、噂は届いていた。
アーロンは何も言わないまま、前を見据えていた。
「どうしてーー」
「俺は、寺院を信じて僧兵になったのではない。ブラスカを信じていたからだ」
物心ついた頃から、何の疑いもなく信じていた寺院の、表と裏。
ワッカの頭の中で、ぐるぐると今までの真実が回り出した。
螺旋階段の終わりが、遮断されている。
アヤは、コントロールパネルを操作した。
「また機械ーー」
ワッカの呟きに、アーロンが答える。
「これがエボンの本質だ。自らの教えを、陰で裏切っている」
アーロンの言葉に、ワッカはため息をついた。
「人をコケにしやがって」
悔しげなワッカの顔を、アヤは黙って見ていた。
通路を歩きながら、リュックが不安を隠せずに、声に出す。
「ユウナん、ほんとにいるのかな?」
「行きゃあ、わかる」
「そうね。確かめなければ、先に進めないわ」
今はユウナを見つけること。
ルール-の頭の中は、それしかなかった。
通路の突き当たりにたどり着くと、アヤは振り返って言った。
「ここよ」
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