「ユウナ！！」

ユウナの元へ向かおうとしたティーダ達の前に、僧兵が立ちはだかる。
それをなぎ払い、確実にユウナの元へ近づく。

最上階から、こちらを見下ろすシーモアに、ティーダは叫んだ。

「シーモア！そこを動くな！！」

最上階へ続く階段の下までたどり着いた時、両腕が砲筒になっている、機械兵岩竜99型が前を塞いだ。

「ルールー！ワッカ！あの機械兵を優先して！」

アーロンに言われた意味を、問い質す余裕もなく、アヤは剣を抜いた。

「相変わらず、だな」

アーロンは苦笑いして、機械兵に太刀を振るった。

「何で機械が寺院を守ってんだよ！」

ボールを蹴り飛ばしながら、ワッカがボヤく。

「いいか！雑兵には構うな！」

「中央突破だろ!!」

アーロンの激に、ティーダが応える。
ティーダに対する彼の信頼は厚い。


「茶番は終わりだ」

「なんで、銃なんかーー」

ユウナの元まで後一歩のところで、ライフルを構えたキノックが立ちはだかった。
ワッカの嘆きを、キノックは鼻で笑う。

「このっ！！」

ティーダがそれに怯むこと無く進もうとすると、アーロンの鍛え抜いた腕が、それを制した。

「見ろ」

ティーダが辺りを見渡すと、僧兵にすっかり囲まれていた。
キノックは、ライフルをティーダの喉に突きつける。
その騒ぎの中、ユウナは隠し持っていたロッドを取り出した。
それを見たシーモアは、満足げに微笑む。

「偽りの花嫁を演じてまで、私を異界へ。強情な方だ。それでこそ、我が花嫁に相応しい」

ロッドを翳されたシーモアの身体から、幻光虫が立ち昇り始める。
マイカは、慌ててユウナを止めた。

「やめ～い！！この者どもの命、惜しくはないのか」

ハッとして階段の下に視線を移すと、ライフルを突きつけられた姿が、ユウナの目に飛び込んできた。

「そちの選択が、仲間の命運を決める。受け入れるか。見捨てるか。どちらを選ぶのだ」

シーモアを受け入れて、ティーダ達を助けるか。
それとも、彼らを見捨ててまで、異界送りをするか。
マイカは、ユウナに選択を迫る。

ユウナの手が震え、ゆっくりロッドが離れていく。
そのロッドが、ティーダの足元に転がった。

「それでいい」

シーモアは笑った。


式が再開された。
シーモアとユウナは、マイカの前で誓いの口づけを交わす。
二人の唇が触れた時、ワッカとリュックは狼狽し、ルールーは顔を背ける。
口づけの間、僅かに抵抗をみせるユウナに、シーモアは更に唇を覆った。

シーモアの唇が触れている間、手を握り締めて耐えているユウナを見て、ティーダは怒りを露わにする。
唇を離すと、シーモアはユウナを抱き寄せたまま、冷酷に命じた。


「殺せ」



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