26話 コンチネンタル・サーカス
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ベベルに到着するまで、ティーダ達もキャビンに移動した。
個室にはいかずに、広間にある多人数用のソファーに座る。
「アーロン」
キマリが、皆と離れて立っている、アーロンに近づいた。
アーロンはキマリと目を合わせずに、窓の外に広がる空を見ていた。
そんなアーロンに、キマリは一抹の不安を感じた。
「大丈夫だ」
アーロンは振り返らずに、返事をする。
「俺はーーシーモアにはならん」
キマリの視線を痛い程背なに感じ、アーロンは自分を奮い立たせた。
「なあ、ベベルってどんな街なんだ?」
ティーダの問いに、アヤは皮肉な笑みを浮かべる。
「ジョゼ大陸の、ザナルカンドに一番近い都市よ。ベベルは、水上都市なの」
アヤはスラリとした脚を組むと、伏し目がちに言葉を紡ぐ。
「出入り口には厳しい検問を設けて、夜はサーチライトで警戒している。安全だけど、息苦しい街よ」
「サーチライト?結構、機械を使ってんのか?」
アヤは笑うだけで、その問いには答えなかった。
「ベベルという水上城塞には、スピラの主だった老師や僧官が集まっているわ。だから、教えの指導は厳しいわよ」
アヤは最後の一言を、ティーダの顔を見て言った。
「俺、たどり着いたのがビサイドでよかった・・」
ティーダは、心底ホッとした顔で呟いた。
「ユウナん、キレイだったな・・」
リュックは、ユウナが着ていた、白いミニのドレスを思い出す。
「そういえばさ、アヤは、おっちゃんと結婚しないの?」
ユウナの花嫁姿を見てか、唐突にリュックが言った。
「え?」
思いがけない話題に、アヤの声が裏返った。
「あ、今すぐとか、そんなんじゃなくてーーさ」
場にそぐわない話題を振ってしまったことに後悔しながら、リュックは人差し指で頬を掻く。
「もうーーあんたは、何でも軽々しく口にしないの」
アヤが何も答えないのを見て、ルールーがリュックの頭を小突いた。
「ゴメンナサイ」
結婚で思い出したように、ワッカが口を開く。
「そういや、ユウナの親父さん、ベベルの僧官だったんだろ?
こう言っちゃなんだけどよ。よく、アルベド族の嫁さん、寺院に連れて行ったな」
ワッカの言葉に、リュックが怒りの形相で立ち上がる。
「どういう意味?ワッカ!」
詰め寄られたワッカは、慌てて顔の前で両手を振る。
「怒るなよ。だってよ、ベベルはエボンの総本山だろ。
アルベドに対する風当たりも、強かったろうよ」
個人の人格など関係ない。
ただアルベドだというだけで、迫害を受ける。
アルベド族なら、誰でも必ず向けられるであろう侮蔑と憎悪の視線を、リュックは思い出す。
「・・・」
気まずくなった空気の中、アーロンが窓の外に何かを見つけた。
「ほう、見ものだな」
アーロンの声に、全員が振り返る。
「うわっ!でかっ!!」
「何アレ~!?」
ティーダとリュックが、驚きの声を上げる。
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