25話 慟哭
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「でも!みんなの幸せの為だからって!召喚士だけが、犠牲になるなんておかしいよ!」
リュックが涙を零しながら、アヤに抗議をした。
その時、辺りを漂っている幻光虫が集まり始めた。
橙色の炎の灯りの中に、青白い塊が産まれ、次第に形を成していく。
キマリがいち早くそれに気づき、立ちはだかった。
アーロンが後に続く。
戦意喪失をしている、ティーダとリュックを庇うように、アヤは銃を構える。
臨戦態勢をとる彼らの後ろから、低く落ち着いた声が響いた。
「犠牲とは、心外だな」
「あなただって、シンの恐怖は知っているでしょう?」
異界送りの終わった二人が、魔物を見据えた。
「シンのいない世界。それこそが、全てのエボンの民の夢だ」
マローダと幼いパッセが、イサールを守るべく、彼の前に立つ。
ドナはキーリカ寺院にて授かった、イフリートを召喚した。
「例えそれが、僕の命と引き換えでも。迷いはしないさ!」
イフリートの背後に、イサールが召喚したヴァルファーレが姿を現す。
イフリートの放った炎が、一瞬で魔物と化した想いを消し去った。
ティーダは、ユウナが最初に授かったと同じヴァルファーレの足元に、崩れ堕ちた。
皆はその様を見ていた。
ワッカは、これでティーダは旅を止めてしまうかもしれないと思った。
彼には、この真実は余りにも、辛過ぎる。
「俺ーーユウナに言っちゃたぞ。早く、ザナルカンドに行こうって、シンを倒そうって」
床に拳を何度も叩きつけ、涙の溜まりをつくった。
「倒した後のことも、いっぱい、いっぱい!あいつの気持ちも、なんにも知らないでさぁ。なのに、ユウナーーあいつ、笑ってた」
『笑いながらーー旅、したいんだ』
ユウナのたおやかな笑みが浮かぶ。
ヴァルファーレは、泣き伏すティーダの、青い瞳から溢れ落ちる涙を哀れんで、低く鳴いた。
そして、彼の愚かな行為の全てを許すように、翼を広げてそっと覆った。
「ユウナに、謝らなくちゃーー」
『召喚士とガードは、スピラの希望の光ーーなんだよね』
そうだ、ユウナはスピラの光なんだ。
彼女が光であることを望むなら、叶えてあげたい。
でも、そうしたらユウナはーー
『おまえには、出来ねえよ』
うっせえよ!オヤジ!
ぜってえ、死なせねえ!!
「ーー助けるんだ、絶対。絶対、死なせない!!」
ティーダは立ち上がった。
その声に、後ろから走って来たリュックが、ティーダの顔を見上げて力強く頷いた。
「行こう!!」
そう言うと、ティーダの腕を掴んで走り出した。
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