25話 慟哭
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魔物を倒すと、ルールーはリュックに訊ねる。
「ねえリュック。召喚士の部屋って、何?」
リュックは、階段下の扉を指差す。
「この下にある、空調施設のこと。そこに、召喚士を保護してるの。死なせたくないから」
階段を下りながら、早口で一連の騒動の動機を話す。
「んで、攫ったってわけか」
リュックは頷いた。
「うん。わかって、貰えないかもしれないけど」
階段の途中で、後ろを振り返る。
「理屈は、わかるけどよーー」
ワッカも立ち止まり、腕を組んだ。
「俺はイマイチ、わかんないんだよな」
首を傾げながら、ティーダは階段を下りてくる。
「旅で死ぬかもしれないからって、誘拐はやり過ぎじゃないか?
だって、召喚士が旅をしなければ、シンは倒せないんだろ?」
リュックの隣りに来ると、宥めるように言い聞かせる。
「ガードがしっかり守っとけば、召喚士は死なないって。なあ?」
同意を求めるティーダから、皆は眼を逸らす。
「なあ!」
繰り返すティーダに、誰もが言葉を失った。
シド達の鎮圧が成功したのだろうか、周りから聞こえていた爆音と、銃激音が止んだ。
前を見据えていたキマリが、ゆっくり動き出した。
「静かになった。キマリは行く」
何かを決意したように皆に告げると、階段を下りて行く。
その後を、ワッカが追った。
ルールーが歩き出し、アーロンもティーダとリュックを追い越して行った。
ティーダの言葉から、逃げるように。
何か言いたそうに口を開きかけたリュックも、踵を返し、後を追った。
立ち尽くすティーダの後ろに、アヤが立ち止まった。
ティーダは振り返る。
「アヤーーなんで、みんな何も言わないんだ?」
「十年前、私は、ブラスカが究極召喚で、シンを倒すことを望んだの」
アヤの突然の独白に、ティーダは戸惑う。
「自分が、アーロンと静かに暮らしたかった。ただ、そのためだけにーー」
「それは、悪いことなのか?」
好きな男性と一緒に暮らす。
極々当たり前の、平凡過ぎるくらいの望み。
「それは、スピラのみんなが、召喚士に望んでいることじゃないのか?」
アヤは、悲しい瞳で歩き出す。
そして、ティーダの横をすり抜けざま、呟いた。
「だから、ユウナに会いに行けなかったの」
自分の問い掛けに、誰も明確に答えてくれない。
シンを倒す事が、スピラの人々の願いではないのか?
何故、旅の妨害をするのだろう。
「わからないーー訳がわからないよ!教えてくれよ!アヤ!!」
階段を降りていくアヤの背中に、ティーダは叫んだ。
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