25話 慟哭
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ディアルホーンが、アヤ目掛けて突進して来る。
アヤは動揺することなく、落ち着き払っていた。
「味わいなさい、最大最強の黒魔法 アルテマ」
アヤが唱えると、辺りが漆黒の闇に包まれた。
闇の中、ディアルホーンの周りを、細く青白い光の輪が幾本も廻る。
その光が七色の爆発を起こし、一瞬の内にディアルホーンを消し去った。
振り返ったアヤが微笑むと、アーロンは満足そうに口の端を上げた。
「ふーー」
グアド族と魔物を倒すと、ホームを更に進んだ。居住区の通路を抜け、メイン通路へ出る。
下ろしたシャッターを上げると、そこには下へと続く階段がある。
階段の踊り場から下を覗き込んだワッカが、諦め顔で呟いた。
「ここはもう、だめだなーー」
「そうだね、だめだね」
リュックは、ワッカの言葉を肯定した。
「アルベド族には、故郷がないんだ。
昔、住んでた島は、シンにやられちゃったからね。
一族はバラバラんなって、あちこちで暮らしてた。
でも、オヤジがみんなを呼び寄せたんだ。
力を合わせて、新しい故郷を造ろうって」
教えに従い、ワッカは何の疑問も持たずに、アルベドを憎んだ。
だから、どんな歴史を辿って来たか、知ろうともしなかった。
「上手くいってたんだよ!みんな、がんばってたんだよ!なのにーー」
悔しさに、涙が溢れ出る。
「どうして、こんなんなっちゃうかなぁ!」
何故気づかなかったのだろう。
アルベドも、シンに苦しむスピラの民だということに。
泣きついて来たリュックの肩を、ワッカは躊躇いがちに抱いた。
「リュックーー」
その時、階段の下と横から、魔物が現れた。
三体の魔物をひとつに合体させたキマイラブレインが、ひとつの身体から三つの頭を揺らしている。
中央の水牛の魔物が、裂けた口奥の喉から、焔を散らつかせる。
「好き勝手暴れやがってーーグアドは何がしてえんだ!」
ワッカはリュックを背中に庇い、ブリッツボールを手に低く構える。
後ろから現れたグアド族に、アヤは銃を抜いた。
水牛の脇に生えている鷲とライオンが、魔法を放つ。
固まっていたティーダ達は、ふた手に別れた。
眉間を撃ち抜かれ、グアドは崩れ落ちる。
「大気もろとも、凍結しなさい」
ルールーが、階段に現れたキマイラブレインの足を凍らせる。
動けなくなったキマイラの、蛇状の尾がサンダガを放つ。
それをかわし、キマリは走る。
「えやぁっ!!」
ワッカの援護を受け、槍が下から弧を描く。
先に走り寄ったティーダが、キマイラの注意を惹きつけた。
「退け!!」
アーロンの声に、真横へ飛び退く。
「ふんっ!!」
ひと太刀で、幻と化した。
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