24話 灼熱の黄砂
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「なぁ、あれ、リュックとワッカじゃないか?」
前方の救命テントの中に、人影を見つけた。
ふたりの姿を確認すると、アヤが安堵の息を吐く。
「ほんと。ふたりとも無事みたいね」
テントに近づきながら、ルールーはキマリに小声で話し掛ける。
「キマリ、さっきの事、言わないでよ」
「キマリは、何も言っていない。ルールーが、勝手に思い違いをしただけ」
前を向いたまま、いつもの無表情で答える。
「わかってるわよ!もうっ」
「珍しいわね。キマリとルールーがケンカしてる」
「ほんとッス。ワッカとルールーならわかるけど」
アヤとティーダは、後ろを見ながら、囁き合った。
「えっとーー話したい事があるんだけど。何も言わずに聞いてくれる?」
リュックは人差し指を唇にあて、みんなを見渡した。
ワッカが口をへの字に曲げ、疑いの眼で見る。
「睨むのも禁止!」
人差し指をビシッと、ワッカに向けた。
「この砂漠は、ビーカネルって島にあんのね。で、近くにアルベドのホームがあるんだ。
ユウナんは、たぶんそこに居る。
あたしたちより先に、仲間が助けたんだよ」
「助けたんじゃなくて、攫ったんじゃねえのか?」
今までの事件を思うと、リュックの言葉を鵜呑みには出来ない。
リュックは信用出来るかもしれないが、他の連中は疑わしい。
ワッカは腕を組んだ。
「ユウナが無事なら、どっちでもいいだろ」
「そうそう!で、みんなをホームへ案内したいんだけど」
そこまで言うと、ぐるりと全員の顔を見渡した。
「ホームの事は、内緒にして欲しいんだ。アルベドは、寺院に嫌われてっからね。バレたら何されるか、わかんないんだよ」
「寺院が何をするって?人聞きの悪い事を言うなよ」
ワッカが憤慨する。
寺院は、反エボンであっても危害を加えない。
それが教えだ。
「昔、そういうことが、本当にあったんだよ」
リュックが、悲しみに沈んだ声で呟く。
「そりゃ、アルベドが悪いからだろ」
「耳が痛いわね。アーロン」
寺院が公式に述べている事は、あくまでも建て前である。
実際は反エボンの民を、僧兵を使い弾圧していた。
アーロンやアヤは、その事をよく知っている。
「今更、弁解などしても、何の詫びにもならん」
話が進まないリュックとワッカの間に、ティーダが割り込む。
「今はさあ、どっちでもいいだろ」
「この島の事は、誰にも言わない。約束してくれる?」
ワッカに念を押す。
「なぁ、ワッカ」
ワッカは頭を掻きながら、渋々承知した。
「わあったよ。案内頼むわ」
リュックは小さな手で拳を作ると、自分の胸を叩いた。
「まっかせといて!」
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