24話 灼熱の黄砂
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照りつける太陽と、熱砂による喉の渇きが、アヤの意識を揺り起こした。
「暑い・・」
そう呟いた後、先程までの記憶が蘇える。
「ーーユウナっ!!」
ガバッと上半身を起こすと、目の前の光景に呆然とする。
「どこ、ここーー?」
一面の黄砂と空以外、何ひとつ見当たらない。
砂埃が舞う中、アヤは立ち上がる。
「ホントは、動かない方がいいんだけどーー」
恐らく、そう離れていない場所に皆もいる筈だ。それにこう暑くては、じっとしていることも、ままならない。
アヤは歩き出した。
「ジェクトのバカ。もうちょっと、ましな所に連れて来てくれればいいのに」
ボヤきながら、ひたすら前に進む。
それにしてもーージェクトの息子か。
アーロンと、十年間暮らしてたって言ってたな
『アイツを頼む』
扉の向こう側に消える前に、ジェクトがアーロンに言った。
アーロンは、約束を果たしたわけだ。
どうして、自分に黙っていってしまったのだろう。
それ故に、自分の事が嫌になったと、思っていた。
だから、確かめたかった。
嫌いになったのかと、聞きたかった。
嫌いだと言われれば、諦めがつくと思った。
結局アーロンも、同じ思いを抱いていたわけだが。
『あのような、異界の匂いがする者が』
シーモアの言葉が頭をよぎる。
『どうやって、ザナルカンドに行ったの?』
『シンが運んだ』
アヤは、足を止めた。
熱い空気に辟易しつつ、今までの事を思い返す。
アーロンと、ユウナとの際会。
ふたりと会った事で、止まってしまっていた時間が動き始めた。
そんな気がした。
それでも、止まっていたと感じていただけで、時は確実に流れている。
「ユウナ、綺麗になったな」
アヤは上体をひねって、自分の体を確認する。
「私も、年をとる筈だ」
ため息をついて、独りごちた。
気を取り直して歩き出すと、黄色い砂の向こうに朱い影が見えた。
「アーロン?」
違う。アーロンはユウナに上着を渡した。
「ユウナ!!」
朱い影に向かって、走り出した。
しかし近づくにつれ、はためいている朱に、違和感を覚えた。
走ることをやめ、歩き出した。
砂を吸い込まないように気をつけながら、用心深く近づく。
それは、アーロンの上着を纏った道標だった。
「ユウナーー」
道標から上着を外し、辺りを見渡す。
胸騒ぎがする。
早く皆と合流しないと。アヤは上着を抱えて、また歩き出した。
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