23話 湖底の大地
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
これから何をすべきか。
それが、決まったのは良かったが。
一番の問題は、ここからどうやって脱出するかだ。
とりあえずキマリとワッカが、登れる場所を捜しに行った。
残りの面子も、付近を調べている。
さっきからずっと聞こえてくる唄が、ティーダは気になっていた。
「寺院から、聞こえるのか?」
「うん、心静めるエボンの賜物」
ユウナの答えに、寺院を見上げる。
綺麗な歌声に、少し耳障りな、低い音が重なる。
「これ、誰が歌ってるんだ?」
「祈り子様よ」
今度は、ルールーが答える。
リュックが、忙しなく動き回っていた。
「へっ?祈り子って、歌ったりするもんなのか?」
「それ以外、説明がつかないでしょう?」
「これ、バージ寺院の建物じゃないかな?ねえ、アーロン」
水から突き出ている、建物を調べていた。
アヤが振り返ると、アーロンは上の空で、マカラーニャ寺院を見上げている。
「祈りの唄ーーか」
寺院の方を向いてはいるが、アーロンの眼はもっと遠くを見ている気がした。
「この唄、ジェクトも歌っていたわね」
アヤも、見上げる。
ふたりの眼には、遠い過去が見えた。
「あぁ、こればかりな。ふっ、へただったがな」
眼を細めて、口の端を上げる。
「何の話ッスか?」
ティーダが傍へ来て訊ねる。
「ジェクトが、この唄をよく歌っていたなって、言ってたの」
「あぁ、こればっかりな。ははっ!へったくそでさ~!」
ティーダは、アーロンと同じことを言った。
「下手なのは、おまえも同じだ」
「聞いてたのかよ!」
思わず顔が赤くなる。
「かー!?油断も隙もねえなぁ!」
口ぶりが、ジェクトにソックリだなと、アヤは笑う。
「アヤ、なんだよ」
むくれたティーダが睨んで来る。迫力は全く無かったが。
「何でもないよ」
アヤは懸命に笑いを堪えた。
「おまえの歌を聞くと、スピラを思い出した」
「そっかーーあんた、スピラから、ザナルカンドに渡ったんだよな」
ひとりで、酒を呑んでいた事を思い出す。
アーロンが懐かしんでいた世界に、ティーダはいる。
アヤを気にしながら、訊ねた。
「やっぱり、心細かったのか?」
「さあな」
言えば、益々アヤに罪悪感を持つだろう。
「なあーーどうやって、ザナルカンドに渡ったんだ?」
アーロンは其れには答えず、黙ってティーダを凝視した。
.
