23話 湖底の大地
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「そうそう!大抵アーロンが、話しをややこしくするんだよな」
ティーダがいつもの事と、明るく言う。
「だよねえ。キマリがガーッて吠えて、おっちゃんが突っ張っしってさ~」
身振り手振りを交えて、リュックが冷やかす。
「着いて来いと、言った覚えはないが」
冷たく思えるアーロンのひと言も、ティーダには、本心を隠す仮初めの言葉にしか聞こえない。
「仲間が行ったら、ほっとけるかっつうの。なっ!」
「うん!!」
リュックに同意を求めれば、彼女は少し驚いて、照れながら賛同した。
それを聞いたアーロンは、踵を返し、皆から距離を取った。
ユウナはティーダの傍に立ち、たおやかな笑みで礼を言う。
「ーーありがとう」
「?」
何で礼を言われたか、わからないティーダは、頭を掻いてごまかした。
「仲間、かぁ。アルベド族以外に言われたの、初めてだよ」
顔に指をあて、はにかむリュックにルールーも微笑む。
「ったく、この非常時に呑気だよなあ、オイ」
自分が曇らせたリュックの顔に、笑みが戻った事を、ワッカは喜んでいた。
その事に、気づいていないのが、彼らしかった。
「単純っちゅうか、図太いっちゅうか」
「あんたはカリカリしすぎ。歌でも聞いて、気を静めたら」
ルールーの小言に、ワッカは肩をすくめる。
「アーロンーー」
後ろから近づくアヤに、アーロンは背中を向けたまま返事をした。
「なんだ」
無愛想な声が返ってくる。
「ジェクトのこと、思い出したんでしょう」
何も言わないアーロンに、アヤは笑みと共に、軽いため息をついた。
『助けるのは当たりめぇだろ!仲間なんだからよォ』
旅の間、当然のようにジェクトの口から出た言葉。
その度に、アーロンはそっぽを向いた。
ユウナやリュックにも、誰より優しい言葉を掛けてあげたいくせに。
口をついて出るのは、厳しい事ばかりだ。
不器用なところは、十年経っても、ちっとも変わっていない。
アヤは、皆に気づかれないように、アーロンの手をそっと握った。
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