23話 湖底の大地
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ユウナは少しの間、伏し目がちに俯いた。
「何も、答えてもらえなかった」
ティーダの顔を見て、少し早口に言う。
「結局、私のやったことって、何だったんだろうな。
もし、最初からみんなに相談していたらーー」
両手を組んで、握りしめる。
「もういい!しなかった事の話など、時間の無駄だ!」
アーロンが辛い眼で、ユウナの悔いを一喝した。
その言葉に、リュックが反撥する。
「そんな言い方、しなくていいのに!!」
言い返してくるリュックを、アーロンは白い息を吐きながら睨んだ。
「ユウナの後悔を聞けば、満足するのか」
アーロンの尤もな言葉に、リュックは肩を落とす。目に涙が浮かんだ。
「そんな言い方ーーしなくていいのにーー」
リュックはただ、独りで悩んでいたユウナに、優しい言葉を掛けて欲しかった。
黙り込むユウナを一瞥し、アーロンは皆から離れた。
「ユウナ、十年前、アーロンはね」
歩いていくアーロンを見ながら、アヤは昔を偲ぶように語る。
「ブラスカが召喚士になった時に、自分も覚悟を決めたの。
そして、旅をしている間も、何度も何度も自分に言い聞かせてーー」
アーロンが語ろうとしない、父親との旅。ユウナは顔を上げる。
「そうまでしてした覚悟をーー最後の最後に、自分で壊してしまったの」
「アーロンさんが!?」
アヤは頷いた。
現在(いま)のアーロンからは想像がつかないアヤの言葉に、皆は目を見張る。
ティーダだけは、今ひとつ、わからない顔をしていた。
アーロンの朱い背中に、アヤは想いを馳せる。
悦びも、哀しみも
怒りも、苦しみも
過去に成りつつある
私たちの存在さえも
「後悔して、やり直しが出来るのなら、何回でもすればいい。でもーー」
哀しみが滲むアヤの言葉に、ユウナは眼を瞑り、大きく息を吸った。
それをゆっくり吐き出しながら、眼を開く。
「ーー考えなくてはいけないのは、これからの事ですね」
毅然としたユウナの瞳に、アヤは頷いた。
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