23話 湖底の大地
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リュックの声に、皆は振り返る。
「どうしたの?リュック」
側にいたルールーが訊ねる。
「いや、あのーー」
しどろもどろになるリュックを見詰めた。
「そこで、ティーダを見つけたんだよ」
「えっ!?あれって、寺院だったのか!?」
海に沈んでいたのは、神殿だったのか。
しかし、地上の建物は、荒れ果てていて、とても寺院には見えなかった。
「確か、数十年前にシンの襲撃を受けて、廃墟になった筈だ」
アーロンが、記憶を手繰り寄せる。
「でも、確かに人がいた痕跡があった。それで俺、助かったんだ」
ティーダが、スピラに放り出された時のことを思い出す。
あの場所はーー暗くて、寒くて、とても心細かった。
「庇護をしてくれる筈の父親に見離され、廃墟で母親とふたりで、生きてきたらしいわ」
決して、楽な暮らしではなかっただろう。
「あそこは、魔物の巣窟だって聞いているわ」
ビサイドにも、噂は流れている。ルールーも聞いていた。
「シーモアは、強くならざる得なかったのよ。母親を守るために」
「シーモア老師、たったひとりで戦っていたんだね」
ユウナが、伏し目がちに呟いた。
「トワメルさんは、そのことをーー」
アヤは、チラリとユウナを見た。
「当然、知っていたでしょうね」
「ジスカルが死んで、態度を変えたーーか」
「多分、指導者が必要だったから。一族の為に」
「なぁ、何をしたかったんだ?シーモアの奴」
ティーダの質問に、アヤに視線が集まった。
シーモアを殺す間際の会話から察するに、アヤは知っていた。
もしくは、気づいていた。皆には、そう見えた。
自分に視線が集まっていることは、わかっているだろうに。
アヤは、何も言おうとしなかった。
「スピラを、壊したかったのだろう」
アーロンが答える。
「それと、ユウナと結婚することと、どう繋がるっスか?」
アヤとアーロンはそれには答えずに、黙って歩いた。
いつの間にか、雪渓を抜け、雪の広原を歩いていた。
まだ、マカラーニャの湖は終わらない。
気まずい沈黙が落ちた。
それに耐えられなくなったティーダが、口を開く。
「アヤ、シーモアのこと詳しいッスね」
「・・・」
一行の頭上に、さらに重苦しい雲が垂れ込める。
禁断の言葉を口にしたティーダに、非難の視線が集まる。
「あ、あれ?」
『あ~あ』
『知らない』
『鈍感』
『バカ』
『・・・』
その時、前方に大きな影が見えた。
「なんだ?」
アーロンが立ち止まると、これ幸いとティーダ達が走ってくる。
「どうしたんだよ、アーロン」
アーロンの視線の先を、一斉に見た。
「ゆ、雪男!?」
「違うよ!毛むくじゃらだよ!」
ティーダが叫ぶと、リュックがツッコんだ。
「どっちだって同じよ」
ルールーは呆れ顔で言った。
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