22話 偽りの絆
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シーモアは、手を高く掲げた。
アニマの眼が光り、身を震わせる。
「アヤ!」
「アヤさん!逃げて!」
アーロンとユウナが叫んだが、アヤは動かない。
何の躊躇いもなく、トリガ-を、引いた。
一発
二発
三発
四発
五発
息つく間もなく、全弾、撃ちつくした。
貫通した弾が、音を立てて壁にめり込んだ。
シーモアの体が、赤く染まっていく。
シーモアはアヤを見据えたまま、膝をついた。
アヤはまだ、銃を構えていた。
「シーモア老師!」
駆け寄ったユウナを、シーモアは嘲笑う。
「今更ーー哀れむのですか」
心を見透かされ、ユウナは、何も言えなくなった。
両手を広げて、仰向けに倒れる。
床に、シーモアの血が、ゆっくり広がった。
差し伸べた手を、ユウナが掴んでくれたら、自分の中の何かが変わったのだろうか?
いやーー
何も変わらない。
生まれてしまった闇はーー消えない。
私は、目的を達するだけ…
あぁーーアヤの、云うとおりだ
シーモアの視界が暗くなる。
アニマのいる、闇の中に、堕ちていくように。
召喚士を失い、アニマは幻光虫へ戻っていった。
開いたままの瞳を、白い指がそっと閉じる。
自分で戦うと言ったのに。
いざ、こうして息絶えたシーモアを前に、どうしていいかわからない程に、心を乱している。
戦う以外に、何か方法はなかったのだろうか。
アヤは、瞬きを忘れて、シーモアを見つめている。
両手は、銃を握りしめたままだらりと下がり、広い部屋に、硝煙の臭いが立ち籠めた。
アーロンがアヤの隣に立ち、シーモアを見下ろす。
「呆気ない、幕切れだったなーー」
ワッカは、自分達がしでかした事の大きさに、思わず身震いした。
「もう、終わりだーー」
頭を抱えて、座り込んだ。
床に横たわるシーモアの亡骸に、それぞれが、複雑な思いを抱いた。
この部屋だけ、時が止まったようだった。
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