22話 偽りの絆
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控えの間になだれ込んだティーダ達は、祈り子の間へと続く扉の前に立つ、シーモアを見つけた。
「シーモア!」
この騒動に、シーモアは少しも動じることなく、冷静な声でティーダを諌める。
「お静かに。ユウナ殿が祈り子と対面中です」
扉を見詰めたまま、振り向こうともしなかった。
「うるせえ!」
ティーダの怒鳴り声に不快な顔をすると、ゆっくり振り返った。
階段を降りながら、ティーダを睨み付ける。
ティーダも負けずに睨み返した。
しばらく膠着状態が続き、誰もが動くキッカケを待っていた。
その時、祈り子の間へ続く扉がゆっくりと開く。
「ユウナ!」
シーモアはユウナを振り返る。
現れたユウナは、部屋の緊迫した空気に、驚きを隠せなかった。
「みんなーーどうしたの!?」
急いでそばへ行った。
「ジスカルのスフィア見たぞ」
「えーー」
ユウナの顔が強張った。
シーモアは、思わずティーダに一瞥をくれた。
「ーー殺したな」
アーロンの静かな威嚇に、シーモアは事も無げに云う。
「其れが何か?もしやーー」
僅かに振り返り、ユウナを見る。
「ユウナ殿も、既にご存知でしたか?」
苦悶の表情を浮かべ、ユウナは頷いた。
それを見たシーモアは、眉根を寄せる。
「ならば、何故私の元へ?」
「私は、あなたを止めに来ました」
ユウナは躊躇ったが、もう隠せないと、皆の前ではっきり宣言した。
ユウナの言葉を聞いたシーモアは、目を閉じる。
やがて、覚悟を決めたように、徐に口を開く。
「成る程ーーあなたは私を裁きに来たのか」
ユウナは毅然と、シーモアと対峙した。
シーモアはユウナの前に歩み寄ると、長く美しい指を差し出した。
ユウナの中に、自分に対する愛情があるのか確かめるように。
それに首を振りながら後退るユウナに、シーモアは彼女の本心を覚る。
「残念です」
悲しげに眼を閉じ、微かに微笑む。
その様子にティーダ達は、ユウナを護るためにシーモアの前に立ちはだかる。
「成る程ーー命を捨てても召喚士を守る、誇り高きガ-ドの魂。見事なものです」
「皮肉?シーモア」
アヤも、ユウナの前に移動した。
感心しているのですと、シーモアは笑った。
自分を見据えるアヤと視線を絡ませると、一瞬、瞳に淋しい色を浮かべた。
「アヤーー貴女はもう、ユウナ殿のガ-ドでしたね」
手を上げ合図をすると、ガ-ドのグアド族が、シーモアを守る為に前へ進み出る。
「宜しい。ならばその命、捨てて頂こう!」
シーモアの言動に、ユウナは覚悟を決めた。
「シーモア老師、ガ-ドは私の大切な同志です。
その人達に死ねと言うのならーー私もあなたと戦います!」
「おっし!」
ユウナの言葉に、ティーダは闘志を露わにした。
しかし、ワッカはまだエボンの老師であるシーモアを、信じようとしている。
「シーモア老師!」
まだ、自分を崇める眼で叫ぶワッカに、シーモアは皮肉を込めて告げた。
「覚悟を決めなさい」
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