22話 偽りの絆
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トワメルが去った後、広間を横切り、奥へ続く階段に向かう。
グアドサラムが近いせいか、グアド族の参拝が多い。
それでも僅かにいる人の中に、見知った顔を見つけた。
「あっ皆さん!お久しぶりです!」
小走りに寄って来ると、エボンの祈りを捧げる。
ワッカとルール-がそれに応える。
「久しぶり、シェリンダ」
「ユウナ様、シーモア老師とご結婚なさるんですね!」
「知っているの?」
ルール-が首を傾げる。
「はい。行く先々で、その話題で持ち切りです。ここ何年もなかった、明るい話題ですから」
無邪気に喜ぶシェリンダに、皆は顔を見合わせる。
「返事をする前から、話を広めているみたいね」
軽いため息と共にアヤが洩らすと、アーロンは渋い顔をする。
「やっぱ、勝手っスよ」
ティーダが不満げに鼻を鳴らす。
その時、広間の奥にある僧官たちが使う部屋の方から、叫び声が聞こえた。
「ジスカル様!」
声と同時に、女性が転がるように飛び出して来る。
「ユウナ様のお荷物のスフィアが!」
ユウナの世話をする女性の僧だった。
その声に、何事かと全員で部屋へ入る。
アーロンが、床に落ちているスフィアを拾い上げた。
「これが、ユウナを悩ませる原因ーーだな」
ティーダがスイッチを入れると、グアド族の男性の姿が映し出される。
『儂が是から言うことは、曇りなき真実。心して聞いて欲しい』
「ジスカル様だわ」
ルール-は、驚いて目を見張る。
『わが息子、シーモアのことだ。あやつの胸に燃え盛る黒い炎。
あやつはエボンを利用し、グアドを利用し、召喚士を利用しーー
このままでは、スピラに災いを齎す者と成り果てるだろう』
ジスカルの言葉に、ワッカとルール-は信じられないと、顔を見合わせる。
『儂は間もなく死ぬ。我が子に寄って殺められ、死ぬ。
儂が不甲斐ないばかりに、あやつは苦しみーー歪んでしもうた。
儂は、シーモアとあれの母親を世間から守ってやれなんだ』
「そうなのか?」
ティーダはワッカに訊ねた。
「俺に聞かれてもわかんねえよ」
ワッカは顔の前で手を振った。
「ジスカルは、自分の妻と息子を一族から追放したのよ」
「え?」
ジスカルの映像を見つめながら、アヤが答えた。
思いもよらなかった返答に、皆は驚いてアヤを見る。
「何で知ってるの?」
リュックの問いに、アヤは無言だった。
『儂にかせられた罰として、この死を受け入れよう。
しかし、是を見る者よ、シーモアを止めてくれ。息子を・・頼む・・』
「こういうことか・・」
アーロンは全てを覚り、呟いた。
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