21話 冷戦
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長い雪渓を走り、マカラーニャ寺院の参道の入り口に着いた。
キーリカやジョゼの寺院と違って、凍りついた湖の下に参道が続いている為に、門が設えてある。
一番最初にたどり着いたキマリとティーダは、そこで後続部隊を待った。
程なく、アーロンとアヤが到着する。
スノーバイクから降りると、アーロンは走って来た道を振り返る。
エンジン音が聴こえ、リュックの姿が確認出来た。
「あとは、ワッカだけか」
アーロンが独り言のように呟く。
「待ちましょう、アーロン。全員揃っていないと、ユウナが心配するわ」
スノーバイクから降りてくるふたりを見ながら、アヤが提案する。
「ーーそうだな」
白い息を吐いて、アーロンは同意した。
ルール-はバイクから降りると、ティーダのそばへ行った。
「ワッカのことーー嫌わないであげてね」
声を落として話し掛けるルール-に、ティーダは笑顔を見せる。
「大丈夫だって」
「ーーありがとう」
いつも口ではキツイ事を言っているが、ワッカのことを憎からず思っているのだろう。
彼女らしい心配りだ。
「ルール-は、リュックのこと、どう思う?」
少し離れた場所で、アヤと話すリュックに目をやる。
「そうね、見ていて飽きないかな。悪い子じゃないわ。あんたの言った通り、いい子ね」
「だろ~?ワッカもさ、それはわかってると思うんだよな」
幻光河で顔を会わせてから、二人はとても気が合っていた。
ワッカも妹のように可愛がっていた。
と、ティーダの目には写っていたのだが。
「ワッカも頭カタイよな。エボンの教えって、そんなに厳しいのか?」
「教えのせいだけじゃないわ。あいつがアルベドを嫌うのは、チャップのことがあったから」
ティーダはミヘン・セッションを思い返した。
浜辺に横たわる死体。
ユウナがみせた異界送りの舞い。
「あ、そっかーーみんなシンのせいかーーくそオヤジ」
「何?」
「あ、あのさ、シンて誰かが変身するものなのか?」
思わず口走ったことをごまかす為に、話題を変える。
ルール-は少し考える素振りを見せたが、すぐに否定する。
「そんな話、聞いたことないわ。シンは罰であると同時に、私たちの罪が形になったもの」
「結局、わかんないってことかーー」
なんで、オヤジはシンになったんだろう
「シンを目の前にすれば、逃げるか戦うか、どちらか選ぶだけで精一杯よ。あまり、深く考えない方がいいわ」
「そりゃあまあ、そうだけどさ・・いいのかな、それで」
アルベドには理解を示すルール-も、シンに関してはワッカと同じ意見を言う。
ティーダは、そこが引っ掛かっていた。
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