21話 冷戦
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
しんがりを走っているリュックは、ずっと黙ったままだった。
後ろでリュックに掴まり、長い髪とドレスをなびかせて、ルール-は口を開いた。
「ーーバレちゃったわね」
あの場にユウナが居なくて良かったと、ルール-は心の底から思った。
居たら、さぞかし悲しんだだろう。
ヘタをしたら、自分のことを話しかねない。
「あはは、スッゴい嫌われ方だったよねーー」
リュックは乾いた笑い声を上げた。
その声を聞いて、ルール-はどうしようか迷った。
「あのねーー」
言い澱むルール-に、リュックは努めて明るく返事をする。
「ん?何?」
肩ごしに、ルール-を見る。
「怒らないで、聞いてくれる?ワッカのこと」
済まなそうに自分を見るルール-に、リュックはえくぼをつくる。
「嫌いになんか、ならないよ!」
「ーーリュック」
言わんとしたことを悟られ、ルール-は言葉を失う。
「嫌いになんてなれないよ!だってね、グアドサラムでね!」
「グアドサラム?」
いきなりグアドの名が出て来て、ルール-は面喰らった。
「うん。ワッカとアヤを捜してた時!」
リュックはスノーバイクを減速させ、道の端に停めた。
その時の事を思い出すように、言葉を紡ぐ。
「リュックは、いい嫁さんになれるって言ってくれたの」
「ワッカが言ったの?」
気の利いた台詞など、言ったことない男なのに。
ルール-は、目を丸くする。
「うん!あたし、そんなコト言われたのはじめてなんだ。
スッゴい嬉しかった。
だからね、ワッカのこと、嫌いになんかなーー」
溢れてくる涙に、リュックは唇を噛みしめる。
ぽろぽろと頬を伝う雫石は、とても熱かった。
「ーーありがとう、リュック・・ワッカもきっとーー喜ぶよ・・・」
ルール-は、後ろからリュックを抱きしめた。
零れ落ちて自分の手にあたる雫石に、リュックの心を痛い程に感じる。
そんなリュックのこめかみに、ルール-はキスをした。
姉が、妹を愛しむように。
アーロンから離れたティーダは、先頭を走っているキマリに追いついた。
キマリは前を見据えたまま、無言だ。
「あの、さーーキマリはリュックのこと、どう思ってんだ?」
さっきの騒動の時に、キマリは一言も発言しなかった。
だから、キマリの考えが知りたかった。
「ロンゾはエボンの民。アルベドを好まない。だが、キマリは違う」
がっかりしかけたティーダは、キマリの顔を見る。
「え?」
「アルベドはアルベド。リュックはリュック。リュックはユウナを守ると言った。
リュックは嘘つきではない。キマリにはわかる。だから、仲間だ」
無表情に言い切るキマリに、ティーダは目を細めて笑った。
これが、キマリなりの優しさなのだろう。
「それ、あとでリュックに言ってやってくんないか。あいつ、気にしてると思うんだ」
「キマリは驚いている」
「なんで?」
「おまえは優しい」
正面切って言われた言葉に、ティーダは照れて、顔を赤くする。
「んなこと、真顔で言うなっての!」
キマリの口が、上がった気がした。
.
