21話 冷戦
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「さ~て、いくっスか!」
重くなった空気を振り払うように、ティーダは明るく言った。
「運転大丈夫なの~?」
リュックが後ろにルール-を乗せて、ティーダに声を掛ける。
その前で、キマリがひっくり返っているスノーバイクをひとりで起こした。
その怪力に、皆は目を見張った。
バイクに跨り、颯爽と先陣を切って走り去る。
「キマリには、負けられないっス」
ティーダはアーロンの口調を真似ると、バイクに跨った。
寒さにかじかむ手でハンドルを握りしめて、雪渓を寺院目指して走った。
前も、横も、氷以外のものは何も見えない。
真白い景色に、アーロンの朱い服と、アヤの青みがかった紫の服の色が鮮やかに浮かぶ。
「ーー意地悪だよな、あんた」
隣りを併走するアーロンに、ティーダは呟く。
「なんだ?」
心外とばかりに、アーロンは聞き返した。
後ろのアヤも、わけがわからずにティーダを見る。
「彼女連れのおっさんと走っても、楽しくない!!」
アーロンの腰に腕を廻し、体を寄せているアヤを横目に見ながら、声の限りに叫んだ。
「ふん」
アヤは苦笑し、アーロンは鼻であしらう。
「間違いが起こらないようにな」
「なんだよ、それ」
言っている意味がわからずに、顔を見る。
アーロンはそれを一瞥すると、視線を前に戻す。
「話を複雑にするなと云うことだ。
上手く立ち回れなくなってーー泣くぞ」
リュックを庇ったことを言っているのだろうか。
別に仲間を庇うくらいーー
アーロンが、思っているような気持ちじゃないし
「余計なお世話だっつうの」
その後は、無言でスノーバイクを走らせた。
しばらくすると、ティーダがポツリと呟く。
「ーーあんたの言う通りかもな」
「おまえの年頃でーー」
「ん?」
横目でアーロンを見る。
「何も間違いをおかさないのも、つまらんがな」
口元が、はっきりと斜めに上がる。
「ううっ、どっちっスか!!」
体よくからかわれた気がして、ティーダはスピードを上げた。
ティーダの姿が見えなくなると、アヤが話し掛ける。
「アーロン!」
声が流されないように、張り上げた。
「なんだ!」
「私、アーロンがティーダくらいの年頃の時に、おかした間違いが知りたいな!」
アヤは、ニッコリ微笑んだ。
「・・・・」
返事に困ったアーロンは、だんまりを決め込んだ。
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