21話 冷戦
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「アーロンーー」
終わらないふたりの言い合いに、アヤはアーロンを見る。
もしかしたら、自分の知っている真実をワッカに告げれば、少しは変わるだろうか。
「無駄だ」
アヤの考えを見透かしたように、アーロンは云った。
「あいつは教えを盲信している。何を言っても信用しないだろう。余計、意固地になるだけだ」
「でも」
このまま、いつまでも言い争っている訳にもいかない。
アーロンは、横倒しになっているスノーバイクに近寄ると、スキーの部分に手を掛ける。
「フン!」
そのまま体重を乗せて、起こした。
「リュック!」
「へ?」
「これは動くのか?」
ワッカとの言い合いに嫌気がさしていたリュックは、アーロンの元に走って行った。
「うん!」
嬉々として、バイクの調整をはじめる。
その様子を目にし、ワッカは怪訝な顔をする。
「あれに乗ろうってのか?
まさか、アーロンさんも、アルベドじゃないだろうな」
今までの二人のやりとりを見ていたティーダが、口を狭む。
「変だよ、ワッカ」
「何が!?」
教えを信じる自分に、何も変なことなどあるわけがないと、ワッカはイラついた返事をした。
「リュックがアルベドだってわかったら、急に怒るなんてさ。ここまで仲良くしてただろ!」
ティーダの言葉に、雷平原で戦ったことや、グアドサラムで話したことが思い返された。
「そりゃあ、おまえーー」
「俺、スピラのことはよく知らない。けど、リュックはいい子だと思う。リュックはリュックだよ」
「ルー」
ティーダの訴えに、ワッカは助けを求めるように、幼なじみの顔を見た。
ルール-は、ティーダのように感情的にならずに、冷静に呟いた。
「アルベド族を知るいい機会ーーそう考えてみない?」
「けっ!」
自分の思い通りの答えが返ってこなかったワッカは、独り寺院に向かって歩き出した。
ティーダはそれを見て、追い掛けようとする。
「放って置け。簡単には、受け入れられまい」
アーロンの言葉に、ティーダは悲しげに視線を落とす。
スノーバイクの調整を終えたリュックは、歩いていくワッカを見つめるルール-に近づき、俯く。
「ーーごめんね」
「あんたが謝ることないわ」
ルール-の瞳は優しかった。
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