21話 冷戦
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ワッカの詰問に、ティーダは頷いた。
「うん」
ルール-も隣りで頷くと、ワッカは怒りを露わにした。
「何で黙ってた」
「あんた、怒るでしょ」
「最悪だぜ。反エボンのアルベド族と一緒だなんてよ」
黙って聞いていたリュックは、溜まりかねて口を挟む。
「あたし達は、エボンに反対なんかしてないよ」
自分を真っ直ぐに見て反論するリュックに、ワッカは怒りを増す。
「お前ら、禁じられた機械を平気で使ってんじゃねえか!わかってんのか?
シンが生まれたのは、人間が機械に甘えたせいだろうがよ!」
「しょーこは!?」
「エボンの教えだ。教訓も沢山ある!」
「答えになってない!」
エボンに反対はしていないが、然りとて信仰しているわけでもないリュックから見れば、ワッカの言っていることは言いがかりに近い。
自分達で考えることを放棄し、不確かなことを鵜呑みにして、目の前のことから逃げているだけだ。
「教え教えってさあ!もっと自分の頭で考えなよ!」
「じゃあ教えてくれ。どうしてシンは生まれたんだ?」
リュックにそう言われても、教えの答えに満足しているワッカは、考えようとしない。
ワッカや大部分のスピラの民にとって、教え以外の答えは必要ないのだ。
そして、答えの導き出せないことは、考えてはいけない。
「それはーーわからないよ」
立て続けにされる詰問に、リュックはいい澱む。
「けっ!エボンの教えをバカにして、結局それかよ」
教えを否定したところで、何の答えもない。ワッカは蔑むようにリュックを見る。
「でも!教えだからって何も考えなかったら、このままだよ!
いつまで経っても、何にも変わんないよ!」
「変わんなくてもいいんだよ!」
同じことを繰り返して言うリュックに、ワッカはイライラして怒鳴り返した。
「シンが復活し続けてもいいの?
もしかしたら、止める方法があるかもしれないんだよ!」
このまま未来永劫、シンの恐怖に怯えて暮らすと云うのだろうか。
そんなのは 嫌だ。
「俺たちが罪を償いきれば、シンは復活しない!」
千年もの長い間償ってきて、まだ足りないのか?
「どうやって償うのさ!」
「教えに従って暮らしていれば、いつかは償えるんだよ!」
いつかって いつ?
堂々巡りの議論に、リュックは疲れ果てて呟いた。
「なんかーー話にならないね」
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