20話 父の願い 友の想い
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「ーーアーロン」
ルールーに抱えられたまま、アヤは唇を僅かに動かす。
「なんだ、アヤーー」
アーロンが体を近づけると、ユウナが場所を譲った。
アヤはアーロンに、震える指を伸ばす。
その指先が、アーロンに触れると、ぽろぽろと涙を零した。
「ごめん、なさい」
大きく息を吸い込んで、また同じ言葉を繰り返す。
「ーーごめんなさい・・アーロン・・ごめんーー」
「何を、詫びる。何で詫びるんだ!アヤ!」
傷を負ったアヤに大声を浴びせるアーロンを、皆は慌てて止める。
「アーロンさん!」
ワッカとティーダが、アーロンの肩を掴んでアヤから引き離した。
「どうしたんだよ、アーロン!」
ティーダは前から腕を押さえて、今まで見たことがないくらいに動揺する彼に困惑する。
「落ち着け、アーロン」
キマリの声が、騒然とした空気の中に響き渡る。
「さっき、バルテロに言ったことを忘れたか」
キマリの声に、アーロンは自分の様子に萎縮しているユウナを見て、目を伏せた。
「ーースマン」
言葉少なに詫びる彼に、ティーダとワッカは手を離した。
女性陣は、その様子にホッと胸を撫で下ろす。
「取りあえず、森を抜けましょう。確か、抜けた所に旅行公司があった筈」
ルールーの案に、ワッカも以前の旅の道順を思い出す。
「あぁ、確かにあったな。そこなら、アヤさんが回復するまで休ませる事が出来るな」
「じゃあ、急ごうよ!」
リュックの催促に、全員が頷いた。
「ティーダ、アヤを運ベ」
キマリの指示に、ティーダは驚いて自分を指差す。
「へ?お、オレ?」
俺でいいの?と、チラリとアーロンを見る。
「アーロンはユウナのガ-ド。こんな時は、経験が浅いおまえが運ぶべきだ。疲れたら、ワッカと交代して貰え」
アーロンは、意を唱えなかった。
「血がーーごめん」
怪我をしているのに、自分に気を使うアヤに、ティーダは苦笑する。
「アヤ、ケガ人は、そんなこと気にしないっスよ」
ワッカに手伝って貰い、アヤを背負った。
「アヤさんーー痛む?」
ユウナは今にも泣きそうだ。
多少の気まずさはあったが、ティーダを真ん中にして歩き出した。
大丈夫だと言いながら、アヤはティーダの背中で意識を失った。
そのあと、マカラーニャの森を抜けるまで、皆、黙々と歩いた。
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