20話 父の願い 友の想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
先に行った、アーロンとアヤが足を止めた。
「おい」
「なんスか?」
癖なのだろうか、ティーダは手を頭の後ろで組んで立ち止まる。
「ジェクトは、おまえを愛していた」
アーロンの唐突な発言に、ティーダは焦った。
「んな、気持ち悪いこと言うなよ」
「愛し方が、解らなかったのよ。不器用なひとだから」
「アヤ、オヤジの話はもういいよ」
どう言えばいいかわからずに、困った顔で話を拒んだ。
「これだけは、伝えたかったの」
アヤは、ティーダに嫌われていると言った時の、ジェクトの寂しい顔が思い返された。
「んーー」
困った顔のまま頷くティーダに、アーロンとアヤは歩き出す。
ふたりが声の届かない距離まで離れると、そっと呟いた。
「ありがとう」
皆、アーロンとアヤの話しを耳にして、感傷的になっていたのかもしれない。
迂闊にも、アーロンでさえ気づかなかった。
油断していた。
一番後ろにいた、ティーダが気づく。
「ユウナ!危ない!!」
ティーダの叫び声に、アーロンはとっさにユウナ走り寄り、庇うように抱きしめた。
「ユウナ!」
「アーロンさん!」
アーロンは奥歯を噛んで、自分の体に来るであろう衝撃に備えた。
ユウナもアーロンの腕の中で、ギュッと目を閉じる。
しかし、何も起こらなかった。
訝るアーロンが片目を開けると、ユウナも恐る恐るそれに倣う。
背後で、ドサリと鈍い音がした。
アーロンは、ユウナの体を離して振り返る。
「アヤ!!」
体の下に、血溜まりが広がる。
再度叫んだティーダの声に、全員が駆け寄った。
「このヤロー!」
ワッカが、飛んでいた蜂の魔物を落とした。
もう一体、やたらと爪の長い魔物がいる。
その爪が、アーロンを庇ったアヤを刺し貫いたのだ。
キマリがアーロンの横を走り抜け、前足を斬り落とすと、後ろからティーダが剣を振り下ろす。
魔物が幻光虫になり、完全に消え去ったことを確認すると、アヤの元へ駆け寄った。
ユウナが白魔法で、傷を塞いだ。
「出血がひどいわね」
「大丈夫なのか?」
声が聴こえたのか、アヤの瞼が少し開く。
「ーー」
「アヤさん、何?」
ユウナが覗き込む。
「ーーブラス、カ?」
「記憶が少し混乱しているみたい。さっきの魔物の攻撃のせいね」
ルールーがアヤの上半身を起こした。
アヤは、皆の顔に泳がせていた虚ろな視線を、アーロンの前で止めた。
.
