20話 父の願い 友の想い
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ティーダはスフィアを持ったまま、俯いていた。
ユウナたちは、ティーダをそっとして置こうと、離れて立っている。
「・・・」
「ティーダーー」
何も言わずにいるティーダを気づかい、アヤが腕に手を置く。
「ごめん、俺ーーアヤにヤキモチ妬いてる」
「どうしてーー」
「オヤジと、あんな風に話したことないから」
アヤは嬉しかった。
そんな風に感じているのは、きっと、ティーダもジェクトのことが好きだから。
「それに、最後だけマジなふりしたって、説得力ねえっての」
「ふりではない」
強がりを言うティーダを、諭すようにアーロンは云う。
「あの時、ジェクトはすでに覚悟を決めていた」
「覚悟?」
独りでスフィアに記録したいと、言い出した時の姿を思い出す。
「ジェクトは、いつでもザナルカンドの家に帰ることを口にしていた」
アヤがアーロンの隣りにいくと、ティーダに優しい眼差しを向ける。
「風景をスフィアに収め続けたのは、帰ってからあなたに見せるためよ」
ティーダの名前を呼ぶ時の、慈しむようなジェクトの眼差しを思い出す。
「しかし、旅を続け、スピラを知り、ブラスカの覚悟を知りーー
そう、前に進み続けるうちに、ジェクトの気持ちは変わった」
ティーダに背を向け、アーロンは滲んでくる涙を隠した。
気づいているのは、アヤだけ。
「ジェクトは、ブラスカと共にシンと戦うことを決めた」
「帰るの、諦めたってことか…」
来た道を戻り出したアーロンは、すれ違いざまにティーダに呟いた。
「覚悟とは、そういうものだ」
アーロンの大きな背中に、自分がいつも見上げていたジェクトの背中が重なる。
隣りで優しく微笑むアヤは、死んだ母の姿に思えた。
なんとなく、分かった。オヤジは、ザナルカンドに帰る方法が、見つからないから覚悟した。
本当は帰りたかったけど、帰れないから覚悟を決めた。
そうしないと、前に進めなかったんだと思う。
それにもし、帰る方法を見つけたとしてもーー
途中で仲間と別れるなんて、出来なかったと思う。
自分を見つめるみんなと、目が合った。
ワッカもルールーもリュックもキマリも、心配しているのが分かる。
最後に、ユウナと目が合った。
諦めがーー覚悟に変わったような気がした。
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