20話 父の願い 友の想い
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「何だよーー何、楽しそうにしてんだよ」
自分と母親に苦労を掛けておいて、スフィアの中で楽しく笑っているジェクトに、ティーダは怒りを露わにする。
そんなティーダの様子を、アヤは悲しい目で見た。
「この続きは、私たちも知らないの。ジェクトが、ひとりで撮ったから」
手元のスフィアを、懐かしそうに見つめる。
アーロンは、十年前の自分とジェクトのやりとりを、懐かしくも苦い想いで見ていた。
この泉を背に、ジェクトがあぐらをかいて座っている。
「よう。おめえがこれを見てるってことはーー俺と同じように、スピラに来ちまったわけだな。
帰る方法が解らなくて、ピーピー泣いてるんじゃねえか?」
薄笑いを浮かべながらも、声は真面目だ。
「まあ、泣きてえ気持ちも解る。俺も、人のこと言えねえよ。
だがよ、いつまでもウジウジ泣いてんじゃねえぞ。
なんたっておめえは、俺の息子なんだからな」
父親の自分を誇れと云うよりも、ティーダの父であることを自慢しているようにもみえた。
「あーなんだ、そのーーだめだ、纏まりゃしねえよ」
ジェクトは困った顔で立ち上がり、スフィアから消えた。
スフィアを手に取り、音声だけ記録する。
「とにかくーー元気で暮らせやーーそんだけだ」
スフィアには、現在とほとんど変わりない木々の灯火と、躊躇いがちな空の光り。
ザナルカンドで、密かに願っていたジェクトの優しい言葉。
「ーーじゃあな」
そこで、スフィアは終わっていた。
もうあんたのこと、昔みたいに思ってないんだ。
こんな所で独り言のように呟かれても、返事を返すことも出来ない。
突然のジェクトの別れの言葉に、ティーダは怒ることも、泣くことも出来ずに立ち尽くした。
.
