20話 父の願い 友の想い
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薄暗い中、寺院を背にブラスカ、アーロン、アヤが歩いている。
アーロンが、不機嫌な顔でスフィアに向かって怒鳴る。
「おまえ、何を撮ってるんだ!」
「よくわからねえが、長い旅になるんだろ?珍しいモノ沢山見れそうだ。
と、なりゃ全部スフィアに記録しといて、女房とガキにも、見せてやらねえとな」
「この旅は、遊びではないんだぞ!」
飄々と言うジェクトに、アーロンは益々不機嫌になる。
隣でアヤが、困ったように笑っていた。
「しっかし、ブラスカよお。シンと戦うショーカンシ様の出発だってのに。
これじゃあ何だか、夜逃げみたいじゃねえか」
アーロンの怒りを聞き流して、ジェクトはブラスカにボヤいた。
スフィアをブラスカに向けると、彼は静かに頭を振った。
「これでいいさ・・見送りが多すぎると、却って決意が鈍り兼ねない」
「そんなもんかねぇ。ま、おめえがここに帰るときには、もうちょっと賑やかになるだろうさ。
シンを倒して、英雄としてハデにガイセンパレードよ!」
ブラスカは、少し乾いた笑い声をあげる。
「そろそろ行こう」
次の映像は、これから向かうマカラーニャの旅行公司の前だった。
「アーロン、もうちょっと寄ってくれ」
氷の壁を背景に、ブラスカが撮影している。
立っているジェクトに、嫌々一歩近づいた。
「よし、それでいい」
「そんな嫌がんなよ、カタブツ」
面白そうに、ジェクトはアーロンをからかう。
アーロンは口を利くのも嫌そうだ。
「五月蝿い」
「ブラスカ、おめえも映っとけよ。ユウナちゃんのいい土産になるぞ」
ジェクトは撮影を代わろうとジェクトに歩み寄る。
「ーーそうだな」
「アヤちゃん、撮ってやるから、そんなカタブツほっとけよ」
スフィアを手に、アヤにも声を掛ける。
「ブラスカ様、こんな事をしていては、時間がいくらあっても足りません!」
「な~に焦ってんだか」
茶化すジェクトに、アーロンは怒りを抑え切れず、声を荒げる。
「この旅が、どういうものだか教えてやろう!」
「アーロンーー」
広大な平原に、チョコボが群れをなしている。
「や~ぱっ、ムサイ野郎よりも、可愛い女の子を撮った方が楽しいよな~」
ジェクトが向けるスフィアの前で、アヤが手を振って笑う。
「ジェクト、その『ムサイ野郎』の中に、まさか私も入っているんじゃないだろうね?」
ジェクトは慌てて否定する。
「とんでもない、ショーカンシさま。ムサイのはアーロンだけで充分です」
「おい」
アーロンの引きつった顔に、三人は声をあげて笑った。
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