20話 父の願い 友の想い
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森の中を、マカラーニャ寺院目指して進んだ。
土地に含まれた鉱物の為、この森の木も、草も、全てがクリスタル状に変化している。
それが、青みを帯びた白い灯火となって、森の至る所を照らしていた。
道を歩くというより、枝の上を歩いているといった方が正しいのかもしれない。
それでも、神秘的な雰囲気に呑まれることなく、リュックを中心に賑やかに先を急いだ。
森を、三分の一程進んだ時だ。前から男がひとり、走ってきた。
ティーダたちを見つけ、大声で叫ぶ。
「あれ?バルテロじゃないのか?ドナのガードの」
何事だろうと、一行は怪訝な顔をする。
「お-い!」
バルテロは、息を切らして立ち止まった。
「あんた達、ドナを見かけなかったか?」
肩で息をしながら、訊ねる。
「ドナ?見てないっスよ」
ティーダはワッカと顔を見合わせる。
「どうしたんだ?」
「森に入ってはぐれちまってーーくそっ!どこ行っちまったんだ!?」
「落ち着け」
喚くバルテロに、アーロンは声を掛けるが、動揺して耳に入る様子はない。
「でも!あいつにもしものことがあったらーー」
アーロンはバルテロに近づいて、諭すように云う。
「取り乱して無駄口を叩いても、何の解決にもならん。
今は、ドナの無事を信じて、全力で探す事だな」
「でも!」
よほど心配なのだろう。あれほど憧れていたアーロンの言葉にも、素直に従えない。
「ガードが取り乱していたら、召喚士はどうする」
バルテロは、ハッと息を呑んだ。
そうだ、自分が取り乱せば、ドナはもっと動揺する。
バルテロは、落ち着いた瞳でアーロンを見た。
「そうですねーー」
上ずった声も、元に戻っている。
「手伝いが必要か?」
アーロンの申し出を手で遮ると
「いいえ、ひとりで大丈夫です。アーロンさん、有難うございます」
バルテロは深々と頭を下げると、ドナを探しに行った。
走り去るバルテロの後ろを、リュックが二、三歩追いかける。
「どうした?」
ワッカに呼び止められて立ち止まった。
「あーー元気だしてって、言おうと思っただけ」
バルテロの姿が見えなくなると、ティーダがアーロンを見てニヤリと笑う。
「アーロン、かっこいいじゃん」
ティーダの褒め言葉に、アーロンはそっぽを向く。
「ふんーー」
柄にもなく照れている事を察したアヤは、微かな笑みを漏らす。
それに気づいたアーロンは、照れ隠しに不機嫌な顔で、アヤを睨んだ。
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