19話 雷の夜
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イヤな予感だけは、当たるんだよな
宿り場で雷と雨を避けて、ユウナの言葉を待った。
皆の注目の中、ユウナは徐に口を開く。
「わたし、結婚する」
一行を見渡して、宣言した。
「やっぱりーー」
ルールーは呟いた。
話があると言い出した時から、予想はしていたのだろう。
驚きは、余りなかった。
「な、どうしてだ?気ぃ変わったのか?」
ユウナの心変わりを、ワッカが確認する。
「スピラのために、エボンのために、そうするのが一番いいと思いました」
まるで、自分に言い聞かせているようだった。
アーロンは、ユウナを問い詰める。
「説明になっていない」
ルールーは、異界での出来事を思い返す。
「もしかして、ジスカル様の事が関係してるの?」
「ユウナ、ジスカルの事はグアドの問題だ。お前が、気にする必要はない」
「あ!あのスフィア!」
ティーダが、部屋で見ていたスフィアの事を口にした。
アーロンは、それを要求する。
「見せろ」
「出来ません。まず、シーモア老師と話さねばなりません。
本当に、申し訳ないのですがこれは、個人的な問題です」
アーロンの厳しい口調にも、臆すこと無く拒絶した。
「ーー好きにしろ」
諦めたアーロンは、ユウナに背を向けた。
「すみません」
「だが、今、一度聞く」
「旅は、やめません」
質問を察し、問われるより先に答えた。
「ならば、よかろう」
「ちょっと待てよ。アーロン」
あっさり納得するアーロンを、ティーダが両手で押し留める。
「旅さえしてれば、後はどうでもいいのかよ!」
「その通りだ。シンと戦う覚悟さえ捨てなければ、何をしようと召喚士の自由だ。
それは、召喚士の権利だ。覚悟と引き換えのな」
アーロンの言葉を裏付けるように、ワッカとルールーは頷いた。
ティーダは、わからないと、首を振る。
そんなティーダを見て、ワッカが、ユウナにもう一度訊ねた。
「ユウナ、いっこだけ質問がある。
シーモア老師と、話すだけじゃダメなのか?結婚しねぇとマズいってか?」
「わからない。でも、覚悟は、必要なんだと思う」
「そ、そうか」
これ以上は言っても無駄だと思い、引き下がった。
「ユウナん」
リュックは前に立つと、肩に手を置いた。
「覚悟ばっかりさせて、ごめんね」
その手を握ると、ユウナは無理に微笑む。
「いいの、大丈夫」
何が『ごめんね』で
何が『大丈夫』なのか
何が『覚悟』で
何が『権利』なのか
俺には、よくわからなかった
みんなと、考えが離れてしまったような気がして。
そしたら、俺はこのスピラで独りだ。
自分が、独りきりなのを感じるのは、辛かった。
「ともあれ、ひとまずはマカラーニャ寺院を目指す。ユウナはシーモアと合い、好きに話せばいい。
俺たちガードは、その結論を待ち、以降の計画を考える。いいな」
誰も、異論を挟む者はいなかった。
再び雷平原を歩き出すと、前を向いたまま、アーロンが話し掛ける。
「アヤーーお前、本当に何も知らないのか?」
アヤも視線を落としたまま、返事をする。
「えぇ」
そう、答えるしかなかった。
全ては、憶測の域を出ないのだから。
next あとがき.
