19話 雷の夜
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旅行公司のカウンターで、ユウナとルールーが部屋を頼んでいる間、ティーダたちはロビーで待っていた。
すると、カウンターの奥から、ひとりの男が現れた。
「これはこれは皆さん。我が旅行公司にようこそ。
わたくしは、オーナーのリンと申します」
金髪の彫りの深い顔立ちの男が、愛想笑いを浮かべ挨拶をする。
一行を見渡すと、同じ金髪緑目のリュックに、目を留める。
「おや?」
口を開き掛けるリンに、リュックは慌てて、人差し指を口に当てる。
「し-!」
リンはリュックの仕草に、とりあえず口を噤む。
隣にいるティーダに向き直ると、そっと耳打ちした。
「ときにあの方、もしやアーロンさんでは?」
「そうだよ」
「やはりそうですか」
ティーダの答えに、リンは愛想笑いではない、笑顔を見せる。
そのままアーロンに歩み寄ると、親しげに声を掛けた。
「アーロンさん」
自分を呼ぶ声に、アーロンは振り返った。
「ご記憶にないでしょうか?あれは10年前ーーブラスカ様の、ナギ節の始めです」
覚えていたのか、アーロンは、すぐに返事を返す。
「あぁ、世話になったな」
「いえいえ、重傷を負われた方を放っては置けません。アヤさんも、ご無沙汰しています」
アヤは黙って会釈をした。
「それにしても、翌朝貴方の姿が消えていた時は、驚かされました。
常人ならば、歩けない程の傷でしたのに。
確か、貴方が運んでこられたのでしたよね」
そう言うと、キマリを見た。
アーロンとキマリ以外は、リンが何の話をしているのか解らずに、不思議そうに二人を見ている。
「悪いが、その話はやめてくれ」
それ以上言われたくないのか、アーロンは話の途中でリンを遮った。
キマリも、黙ってリンを見ている。
リンはそう言われ、それ以上は控えた。
客商売ゆえの、察しの良さだろう。
「畏まりました」
いつもの愛想笑いに戻ると、思い出したように、ティーダたちに話し掛けた。
「そういえば、先ほどシーモア老師の御一行を、お見かけしました」
ユウナは、やっぱりといった顔をした。
その後に続くリンの言葉に、皆は一様に驚いた。
「なんでも、老師はご結婚なさるとかで」
「なんであんたが知ってるんだ?」
ティーダはムッとする。
「グアド族が、広めているのですよ」
「まだ、決まったわけじゃないのに。勝手な奴らだなぁ」
ティーダは怒りを露わにした。
ルールーやワッカ達も顔を見合わせた。
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