19話 雷の夜
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「あ~あ、来ちゃったよ・・・」
雷平原を前に、リュックはひとり怯えていた。
「きゃああ!」
轟き渡る雷光に負けないくらいの悲鳴を、リュックは上げる。
「どうやって進むんだ?ここ」
一面の危険地帯に、ティーダも苛立った声を出す。
その間にも、雷は絶え間なく降り注いだ。
はじめてではないルールーは、落ち着いて説明する。
「あちこちに、避雷塔が立っているわ。雷は、避雷塔が受け止めてくれるってわけね」
「避雷塔から離れすぎず、近づきすぎず、北へ進め。だな」
ワッカは心なしか、楽しそうだ。
落ちる雷鳴に、リュックは悲鳴を上げつづけた。
「ちょ~っとだけ、グアドサラム戻る?」
幻光河で、再会した時の勢いはどこへいったのか。一転して気弱な発言をする。
「短い付き合いだったな」
アーロンがリュックを見ながら、わざとらしく云う。
「あ~わかったよ。いくよ!」
さっさと歩き出すアーロンたちの後ろを、泣きだしそうな顔で付いて行く。
轟音の中を歩いていると、大きな剣を持った、鉄の巨人が姿を現した。
「出やがったな!変な顔しやがってよ!」
「あんたに言われちゃ、おしまいね」
勢い込むワッカに、ルールーは、にべもなく言い放つ。
「ワッカ!へこんでないで攻撃っス!」
「お、おう」
落ち込むワッカを催促して、ティーダは攻撃を開始する。
ワッカがボールを蹴り飛ばし、顔面を狙った。
その隙にティーダとキマリが斬り込んだが、硬い装甲に、ティーダの剣は弾き返されてしまう。
「コイツ、かて~!」
「キマリの槍と、アーロンの剣でなければ無理だ」
「~~~」
キマリの判断に、ティーダは悔しがった。
「ねぇねぇ、あたしにやらせて」
リュックが二人の間に入る。
「リュック、危ない」
「大丈夫!まぁ見ててよ!」
訝しがる二人の前で、リュックはアイテムを取り出し、調合をはじめる。
「おい!何やってんだよ!」
ワッカは声を荒げる。
巨体に似合わない、素早い動きと硬い装甲に、アーロン達も思ったより苦戦を強いられた。
「で~きた!」
リュックは立ち上がると、それを両手に持って、鉄巨人に向かって走る。
「みんな~!どいて~!」
アーロンは、リュックが握っている物を見てギョっとした。
「離れろ!」
「ユウナ!こっち!」
アヤがユウナの手を引っ張った。ルールーも後に続く。
「いっくよ~!たぁっ!」
両手に持っていた手榴弾を、立て続けに投げつけけ、耳を塞いでしゃがんだ。
大きな爆発音と共に、装甲に穴があいた。
その穴を集中攻撃し、鉄巨人を幻光虫へと変えた。
「やるっスね!リュック」
「リュック、すご~い!」
口々に褒められ、リュックは胸を張る。と、そこへ雷鳴が響いた。
「きゃああ!」
途端に、頭を抱えてしゃがむリュックに、笑いがおこる。
「さっきの威勢はどうしたよ」
ワッカにからかわれ、リュックは口を尖らせた。
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