19話 雷の夜
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シーモアの屋敷から、ユウナとアヤが出てくると、ティーダが満面の笑みで駆け寄る。
「アヤ!捜したっスよ!」
「ごめんなさい、心配掛けて」
「シーモアの屋敷にいたの?だから、姿が見えなかったんだ」
リュックが納得したところで、ルールーがユウナに訊ねる。
「返事はしたの?」
「それが、シーモア様はマカラーニャ寺院へ行かれてしまって」
ユウナは、顔を曇らせた。その事に、ワッカは不満を洩らす。
「いくら老師様でも、何も言わないで行くなんてなぁ」
「こ~んなに早く、返事されるなんて、思わなかったんだよ」
「あ、そうだな。きっと」
リュックのお気楽な意見に、ワッカもつられて軽い返事を返した。
ルールーは、呆れ顔でそれを見ている。
「じゃあ、出発するッスか!」
「ちょっと待て」
旅の再開に、勢い良く拳を振り上げるティーダに、キマリは待ったを掛ける。
「どうしたの?キマリ」
珍しい事もあるものだと、ユウナが見上げるとキマリは、真剣な顔で言った。
「グアドのポーションは、よく効く。購入したい」
「あ、はい。どうぞ」
キマリの以外なこだわりに、皆は呆気にとられた。
「あ、あたしもアイテム買いたい!」
リュックが手を上げる。
「アイテムなんか、どうすんだ?」
ティーダは首を捻りながら、リュックを見る。
「あたし、魔法も使えないし、力も弱いからさ。アイテムを調合してね、強~い武器を作るんだ!それで、ユウナんを守るの」
リュックの決意に、ユウナは嬉しそうに微笑んだ。
「へぇ~」
ティーダが興味を示すと、リュックが何か思いついたらしく、悪戯っぽく笑った。
「ユウナん達も行かない?面白い物、あるかもよ」
手を後ろで組んで、何か言いたそうに、ユウナやルールーの顔を見る。
リュックの言わんとしたことを察したルールーは、すぐ話に乗る。
「そうね、偶にはいいわね。行きましょ、ユウナ」
「そうだね」
ルールーの目くばせに、ユウナも気づき賛成する。
キマリとリュックが歩き出すと
「ほら、あんた達もさっさと来る!」
ルールーは、ワッカとティーダを引きずるようにして、ふたりの後について行った。
打ち合わせたかの様な行動に、アーロンとアヤは呆気にとられて皆を見送った。
ふたり切りになり、気まずい沈黙が落ちる。思わず、互いから目を逸らした。
言いたい事はわかっているのに、巧く切り出せない。
でも、このままでは埒があかないと、アヤが意を決して切り出す。
「アーロン、あの、さっきは、ごめんなさい」
また、拒絶されたらという思いと、シーモアと交わしてしまった口づけを思い出し、下を向く。
「ーー俺も、言い過ぎた」
目を逸らしたままだったが、それでもアヤは、ほっと息を吐く。
その後、ふたりは押し黙ったまま、それぞれの視線の先を見つめた。
アヤは、シーモアがユウナと結婚することで、何をしようとしているのか、考えを巡らせていた。
無意識に、シーモアが触れた唇に指先を当てる。
「何か、あったのか」
ハッとして顔を上げれば、アーロンが自分を見ていた。
シーモアとの口づけを、見られていたような錯覚に陥り、鼓動が速くなる。
「いえ、何もーー」
それ以上は、言えなかった。
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