19話 雷の夜
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【迷路の平原】
「俺たちは、こっちだ」
ワッカとリュックは、ティーダたちと、逆の方へ歩き出した。
「アヤさん、ガード、やめちまったのかな」
ワッカはリュックの歩幅に合わせて、少しゆっくり歩いた。
リュックは、両手を大きく振りながら、ワッカの顔を見上げると
「あの二人ってさ、ほんとに恋人同士なの?」
「おまえ、前見て歩けよ。あぶねぇぞ」
「あ、うん」
リュックは、ワッカの注意に、素直に返事をする。
「俺も十年前に、一度合ったきりだからなぁ」
ワッカは腕を組んだ。
「ふぅ~ん。でさぁ、ワッカは、ルールーと結婚すんの?」
「へ?け、け、け、けっこん!?おわっ!!」
ワッカは動揺して、張り出していた根に、思い切り顔をぶつけた。
「いってぇ~」
手で顔を抑えて、しゃがんだ。
「大丈夫!?」
リュックが、心配そうに覗き込んだ。
ワッカの額には、大きなコブができている。
「ひゃ~痛そう」
リュックは眉を寄せて、ワッカの額に手を当てた。
「でぇじょうぶだよ、こんくらい」
目に涙を溜めながら、ワッカは、強がりを言ってみせる。
「ちょっと待ってて」
リュックは、ポケットからハンカチを出すと、常備しているポーションを手にした。
蓋を開け、ポーションでハンカチを湿らす。それを見たワッカは慌てた。
「おいおいおい、勿体ねぇことすんなよ」
立ち上がると、片手は額に当てたまま、リュックを止める。
「何言ってんの。怪我の方が大事でしょ」
そう言うと、爪先立ちで、ワッカの額にハンカチを当てた。
熱をもったコブに、それはひんやりと、気持ちよかった。
「おぅーーあんがと」
「どう致しまして」
顔を、少し赤くして礼を言うワッカに、リュックは、へへへと照れ笑いをした。
ワッカはハンカチを当てたまま、歩き出した。
「で?」
「何が?」
「結婚だよ、ルールーと」
「ーーしねえよ」
「何で?仲いいじゃん」
不思議がるリュックに、ワッカは真面目な顔になった。
「あいつは、俺の弟の事が好きなんだ。だからーー」
「その弟は、どこにいんの?」
「去年、討伐隊に志願して、死んだ。教えに背いて、機械を使ったんだ」
「そっかーーごめん」
ワッカは、リュックを見て笑った。
「な~んで、おまえが謝んだよ。おまえのせいじゃないだろ?ん?」
「そうだけど・・」
足を止めて、俯くリュックの頭を、ワッカは大きな手で乱暴に撫でた。
「うわっ、やめてよ~」
髪をクシャクシャにされて、リュックは悲鳴を上げる。
「ハハハ、ルールーよりリュックの方が、いい嫁さんになるんじゃねえか?」
ワッカの思わぬ言葉に、リュックは驚喜する。
「ほんと!?」
「あぁ。このハンカチ、もうちょっと貸しといてくれ」
「うん!!」
ワッカは、リュックがアルベド族だと気づいていない。
騙しているようで気が引けたが、リュックは、ワッカの優しさが嬉しかった。
「それより、一度戻るか。これ以上行くと雷平原に出ちまう」
「え、雷平原?」
リュックは、青い顔で固まった。
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